円安のために、資源などの高騰で輸入に対する支払額が急激に増加し、国富が流出しています。急激な物価高を招いているのは企業の輸出競争力に比べて円安となっているためであり、資源高騰が引き起こしている物価高を国民の一人としては看過できないものです。国民の多くは円高になると輸出競争力が落ち、最悪の場合には貿易収支が赤字になり、その結果米国のような"双子の赤字"になり大変なことになるとマスコミが報道している事を信じているのではないでしょうか。私はこの報道姿勢には疑問があります。今から30~40年前なら分かりますが、今日の日本企業は技術力で製品の輸出を行っており、円高で簡単に競争力が落ちることはないと思えるからです。もちろん、一時的には為替の影響は避けられないと思料しますが、中期的・長期的に考えれば、資源の大半と穀物類の61%の輸入の現状から円高が有利という事が分かる筈です。年配の方はご記憶と思いますが、1975年前後に起きた石油ショックに対して日本は世界に先駆けて原油価格高騰を吸収して経済を立ち直らせた実績があります。今から40~50年前は、日本は輸出がGNPの70%を占め、輸出なくしては日本経済は成り立たない状況でありました。しかし、今日、その比率は逆転し、GNPに対して内需が70%を占めています。輸出は大事ですが、国内景気を良くするには内需を起こす必要があるにも関わらず、依然として政策者やマスコミは輸出中心の考え方を持っており、且つ経済社会システムを輸出から内需中心に切り替えられなかったことに大きな原因があります。尤も、輸出中心の考え方が日本の農業を破壊したのであり、今日では企業改革に対しても外国資本依存中心の考え方で日本の社会システムを破壊したのです。今や、赤字国債が800兆円までになった現状を考えると、円の問題は企業力を越えて国力の問題となっており、円高は望めそうもない図式が浮かび上がります。此れまでに蓄積した国富も円安と政治不信により海外に流失しております。色々な考え方があるとは思いますが、私は国民の一人として全体の流れに惑わされないで行こうと思っています。特に、当社に資産の活用・保全を依頼する方々に対して常に確かな情報の提供を行ってゆきたいと考えています。