成功している企業の特徴と経営者達

現代の様な複雑系の社会で成功している会社の特徴は、1.偶然が重なり合って成功している会社、2.宗教的な雰囲気で社員のやる気を引き出している会社、3.江戸時代の5人組制度を組織に導入して連帯責任性で奴隷化している会社の何れかの範疇に入っている。"企業は人なり"と言う言葉があるが、創業時には何れもこの言葉を大事にしたので成功会社は発展してきたと思える。しかし、社員も多くなり、組織も拡大すると多くの社員にやる気を出させるには、カリスマ的な経営者による宗教的な指導が必要だが、似非カリスマ経営者は5人組の連帯責任制度で組織を維持することになる。尤も、大半は偶然が重なり合って成功している会社なので、経営者や組織や社員について語れる事は少ない。私が何故この様なことを書いたのかと言うと、戦後の混乱期から1970年代までの大企業経営者は一企業の経営だけでなく天下国家を考えていた人が多かったからである。最近、読売新聞に毎週土曜日に元セゾングループの堤清二氏が自伝とも言うべきエッセイを書いているが、その中にも当時の財界人の凄さが述べられている。しかし、最近の大手企業の経営者は自分の会社だけしか考えられない人物が就任し、日本と言う国や国民が眼中にない。情けない話である。もちろん、インフレ成長の中で減点主義に変わった組織が大人物を排除し、参謀クラスの資質の者が経営者になった背景はある。特に、経済バブル以後の日本企業の経営者は特にその様な小人物が目立つ。本当は今こそ戦後に活躍した様な企業人が望まれるのだが、どうも経営者の後継者の選択にも"平均化の法則"が働いている様で期待出来ないかもしれない。

東京の地価はバブル化したか

20年前の経済バブル時の東京の地価の上昇と今回の地価の上昇について見ると大きな相違がある。前回の時は都内の全ての地価が上昇したのだが、今回の上昇は値下がり過ぎた地価に対する反動的側面を持つ上昇であると思える。尤も、銀座の一部や青山・表参道エリアに関しては前回のバブル時以上の価格となったが、大部分は土地バブルとは言えない程度の上昇である。銀座や表参道の土地の上昇の原因は有名ブランド品の会社の出店に伴ったもので、その出店がその後の不動産会社による思惑投資へと拡大した結果の上昇と言える。しかし、単なる物販業者が借りられる賃料設定の土地価格でないので、限定的な土地バブルで済んだと言える。ちなみに、マンションの販売価格で見ると、前回のバブル時は西麻布で1坪2,500万円の高値まで上昇した。しかし、今回の販売価格を見ると、都内の一等地で1坪当り450万円程度である。尤も、10年前は1坪当り250万円であったので80%も上昇していると指摘する人がいるかもしれないが、この250万円の販売価格はバブル経済前の今より低い所得水準であった1980年頃と同じである。下がり過ぎた分を考慮しないとバブルであるかどうかの判断は出来ないのである。では事務所賃料の方はどうかと言えば、この場合も丸の内・八重洲・赤坂などの新築高層ビルの賃料が大幅に上昇して前回のバブル経済時点と同様な賃料水準となったのは確かである。しかし、既存ビルや大部分のエリアでは前回のバブル初期(1987年)の賃料水準まで上昇したのは少ない。特に、大手企業はリストラを含め固定経費の削減に邁進してきたので、前回のバブル時と比較にならないほど高い賃料を吸収でき事を考えると賃料バブルとはなっていないと言える。このため、今回は金融庁が土地バブルを懸念して不動産に対する融資規制をするレベルではないのに行なった事に疑問を持たざるを得ない。翻って、住居地区は兎も角、商業地区の土地価格に関しては行政が介入すべきでなく需給に任せるべきである。前回のバブル時もそうであったが、規制のタイミングの悪さで全てを駄目にしている。景気回復の遅れも含めてここ20年は政冶・行政の失政で苦しめられている。今回も然りであるので、地価は今後下落するなどの虚言に振り回されないことである。

日本人を壊した小泉元総理よ出て来い

通り魔的殺人がまた起こった。日本社会はDNA的に見ると世界でも稀な出アフリカの全てのDNAを有する民族と書かれた本を読んだ。これを意味するのは大陸の種族争いを避けて日本に来た子孫が我々であり、基本的には競争を好まない遺伝子を持った種族か、或いは争いに疲れて共存する道を選択した種族と推測される。もちろん、日本の歴史を見ると争いがなかった訳ではないが、負けた相手を皆殺しにする大陸種族とは異なるから、それぞれのDNAを有する人々の子孫がいる訳である。この事実は、聖徳太子が制定した17条憲法の第1条に「和をもって貴し」と定め、種族間の争いについての愚を指摘したことでも分かる。20代の頃、雑誌の編集記者として韓国経済の担当となり、韓国経済の強さと弱さを調査していた時に多くの韓国人が指摘した事は、日本人の労使交渉は会社の利益が損なわない段階で双方の妥協によって決着するが、韓国人の労使交渉は対決のまま平行線となり、会社を潰すまで終わらないと言う国民性を懸念していた事である。この様な特質を持った日本人をグローバル経済の御旗の下に格差社会を無理やり導入し、今日の混乱を引き起こした小泉元総理の責任は重い。小泉政権時に多くの改革を行ったと指摘するが、その成果は一つも挙がっていないのが実情である。今も赤字国債は増え続け、規制緩和した建築基準法では構造偽造事件が起き、必要のない独立行政法人を多く設立して国費の浪費を助長させているなど新たな問題を起こしているだけである。小泉は不条理な社会を造って日本人が長い歴史を通して作り上げて来た良さを壊した張本人である。国民に痛みを説いた小泉が何の痛みなども受けず、然も年金問題の責任は厚生大臣経験者の一人である小泉の責任でもある。小泉の改革を弾劾せずして日本の将来はない。

円流失の実態が身近に!

同業の設計事務所の社長から久し振りに電話が入り、来社の意思を伝えてきた。時間が空いていたので電話の当日にお会いしたのだが、話の内容は仕事の事でなく、彼の叔母の資金運用の件であった。物価高のために叔母は年金だけでは生活出来ない上、預貯金の金利も低く年金の不足分をカバーできないので、預貯金を解約して海外の投資信託に投資する事を勧めたいが、銀行で説明を聞いただけでは良く分からないので教えて欲しいと言う事が訪問の趣旨であった。この話は私にとって複雑な思いであった。原油や資源が高騰している今、円高にならないと国富が失われて行くのに、海外の投資信託の購入により円が海外に流失し円安を招く悪循環が起きている事に対してである。良く考えると、大手企業や公務員でないかぎり、確かに年金での生活は無理と言える。バブル経済崩壊前は預貯金の金利が年金不足分をカバーしていたが、昨今の低金利では元本を取り崩しての生活であった。それでもデフレで物価が上がらないので理論的には元本の一部を取り崩しても元本が減らない筈であった。しかし、今回の物価高は国内での預貯金での低金利の運用では生活維持は不可能となり、為替リスクを伴う金融商品に庶民を追い立てて行く図式が見えてきた。カジノ資本主義に翻弄される国民に対して無策な福田政権に憤りを感じるのは私だけであろうか。

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