民主党政権のアキレス腱は参議院

今回の衆議院選挙で民主党は大勝したが、本音は勝ち過ぎた思いが強いと思われる。来年7月には参議院選挙が行なわれるが、それまでは否応なしに社民党と国民新党と連立を組んで参議院の過半数を維持しなければならないと言う問題が横たわる。今回の連立政権には、「われらが党」も参加の意欲を表しているが、参議院の議員を有していない「われらが党」に価値はないので相手にされないであろう。民主党としては来年7月の参議院で単独過半数を得て政権を磐石にしたいと思っているのであろうが、10ヵ月後の来年の参議院選挙に今回の衆議院で大勝しすぎたマイナス面が出るのを避けるために社民党や国民新党が利用される恐れは多分にある。何れにしても、10ヶ月後の参議院選挙まで国民の支持を維持するには、霞ヶ関を悪者にするか、社民党や国民新党を悪者にするしか道はないと思料する。尤も、自民党にしても10ヶ月位で国民の支持を戻すほど変われるとは思わないが、参議院の勢力如何では参議院が引き続き政治の不安定な要素となる可能性が高い。経済の大事な時期に政治が不安定だと国民に取ってはプラスとはならないので、今回以上に来年の参議院選挙は重要になると思われる。

記者クラブ発表でもないのに新聞が歩調を合わせた「民主党300議席超え」記事の不思議さ

タブロイド版の夕刊紙などは日経の記事を踏まえて書いたのもあるが、どの新聞も一斉に「民主党300議席を超える勢い」と報道した。記者クラブの発表記事の如く、各社が全く同じ様なニュースとなるのは首を傾ぎたくなる。確かに、今回の選挙では民主党が強いのは分かるが、各報道機関が実施したアンケート調査に何等のバラツキもないのは、穿った見方をすれば各社とも経費節減のために同じアンケート調査会社を利用したか、そうでなければ何らかの意図によってコントロールされた記事が掲載されたかである。もし、前者とすれば、今後は各報道機関のアンケート調査など信じる気になれない。なお、後者であれば、今回の報道が民主党にプラスに働くか、マイナスに働くかで異なると思われるが、冷静に見れば前の選挙で自民党が圧勝した弊害を国民が考えれば民主党にマイナスとなるかもしれない。この様な報道に関してマスメディアが倫理規定で調査しないと公正中立な立場を自ら放棄する事になり、近い将来の選挙報道に対する規制に繋がる危険性がある。尤も、昨夜のTBSの番組の国際陸上競技「女子マラソン」で、実況放送にも拘わらず、その後に同じ番組で1位の中国選手の名前や3位銅メダリストの国及び氏名を間違えるなど信じられない出来事があった。このため、先の「民主党300議席超えの勢い」のニュースも英米の規制緩和主義者がもたらした過度競争による経費節減の影響で現場の質が落ち、無責任な状況によって生じた結果のニュースとしたら最悪と思える。社会全体で経費節減による質の低下が起きているので、今後は本当の価値に対しての見極めが必要となり、合法的なインチキを見破る目が重要と成って来る。

認証・基準作りの上手い欧米諸国

米国NYでは「グリーンビルディング」と言う言葉が到る所で聞かれるそうだ。日本で未だCASBEE(建築環境総合性能評価システム)による建築物の格付け手法の段階と言うのに、グリーンビルディング「LEED(The Leadership in Energy and Enviroment Design)認証」なるものが生まれている。お金儲けに対する取り組み方が違うと思うのだが、何れ日本でも同様な認証基準が導入され、建築物の格付けが行なわれて賃料や売買価格にも影響が出ることは間違いない。LEED認証を未だ知らない方に説明すると、認証の基準は以下の6つの項目に分かれており、①敷地の持続性可能性(14ポイント)、②水効率(5ポイント)、③エネルギー(17ポイント)、④資材・資源(13ポイント)、⑤屋内環境基準(15ポイント)、⑥革新性と設計プロセス(5ポイント)、更に括弧内のポイントに対する細かい数値基準などが設定されており、認証を受けるだけでも大変な様だ。NYでは市内の自転車走行を奨励するなど都市環境に注力しているが、LEED認証に関してはグリーンビルディング法によって市から1000万ドルあるいは建築コストの50%以上の融資を受ける場合や、市が建築する200万ドル以上の建築・増築するビルはLEED基準に従わなくてはならないそうだ。もちろん、この制度の普及にはグリーンビルを推進したオーナーに対する優遇税制が設けられている。オバマ大統領は21世紀の米国を省エネ・環境立国にする考えで予算編成を行なう考えのようだが、省エネ・環境については日本が先輩格なので、認証・基準作りにに後塵を拝していては何時の間にか遅れを取るのではないかと心配である。特に、日本は民間に大きな負担を強いるような制度を経済環境を無視して行なう傾向があるので、制度が形骸化する恐れもある。何れにしても、省エネ・環境に対して配慮した建築物でないと価値がなくなる時代が来ている事を痛感ささせられる。

イラク・アフガンに見る米国テロ対策の誤り

アフガンは援助景気で一部の支配階級だけが反映を謳歌していると言われる。しかし、90%の国民は極端に貧しく、米国の望む平和など無縁である。米国の間違いはイラクでも同様であったが、貧困さが民衆をイスラム原理主義に走らせているのであり、実体は宗教の対立とは異なる。グローバル経済は確かにフラットな世界を築きつつあり、豊かさとは無縁であった発展途上国の国々に経済成長をもたらしている。しかし、逆に経済成長が格差社会を助長して犯罪も拡大している。犯罪の発生は貧困が原因であることは疑いもない。米国が本当にテロを失くしたいと願うなら軍隊を送るのではなく、経済援助でアフガン国民を豊かにする事である。尤も、米国の覇権主義の背景には軍事産業や宗教団体が存在するので、実際には紛争のための紛争を演出していると考えられる。イランやミャンマーなどは、ポストアフガンだが、北朝鮮に対しては韓国や日本に武器を売るために地政学的に利用している。自由や人権と言う言葉で他国に侵略する行為は、許されるものではない。ベトナムが良い例である。南ベトナムが崩壊しても米国が懸念したような事態には到らなかったのである。南ベトナムの一部の企業家や軍隊の利益のために戦争を続け、その結果、米国内に混乱と経済疲労をもたらしたのである。アフガンの深入りは第二のベトナムになる可能性が強いが、金融危機の経済活性化のために戦争を行なわなければならないのは悲劇である。暴力では人を屈せさせることは出来ないのである。何も知らないでアフガンに深入りするオバマ大統領も何れ後悔すると思われる。

民主党政権で本当に高速道路の無料化が実現できるのか

高速道路は建設当初の計画では無料化する事になっていたと言う事だが、インターチェンジ方式の出入口しか考慮されていない事から考えても国民に嘘を付いていたのではないかと思われる。米国の高速道路を見れば一目瞭然であり、無料化して効率的な運用を考えていれば一般道の整備計画で高速道路との整合性を考慮されていて然るべきだが、日本の高速道路網と一般道網との整合性はインターチェンジ周辺を除けば極めて小さい。推測の域を出ないが、高速道路の建設は半永久的に続ける意図があったと考えれば辻褄が合う。何故、高速道路の無料化の実現に疑問を抱いたかと言うと、石油特別会計の一般財源化の議論の中で高速道路に関する運営上の問題が一度も取り上げられてこなかったからである。確かに建設費は膨大であるが、一般財源から高速道路の建設費に回っている分は少なく、殆んどが受益者負担の石油特別会計の財源であったので、高速道路建設費に係る借入金は一時的に建設をストップするか、スローダウンすれば問題は解決するからである。特に、高速道路の民営化に際して一度も検証されていないのは、高速道路に点在する休憩所及びガソリンスタンドからの収益である。この休憩所の既得権益について少しも触れていないのは異常としか思えない。この様な事を書くと、建設費など比較して無視できるほど小額の収入と反論が出るかも知れないが、それならば使用料の仕組みを開示して透明性を高める必要がある。標題のタイトルは民主党ができるのかと言う事で、高速道路の無料化が出来ないと言うことではない。高速道路を無料化するに際しては一般道路との整合性が鍵を握ると思うからである。高速道路の無料化は現在の様なインターチェンジ方式の出入口では使用効率と一般道路の補完には成り難いので、多くの出入口を造る事が必要だが、一見して現行の高速道路は一般道路との整合性が悪いため、新たに出入口を建設するには多額の費用が掛かってしまうと思われるからである。今回の地震による高速道路の崩壊もインターチェンジ方式の出入口のために何10kmも使用できない現象を引き起こしたのである。高速道路の無料化で経済効果が上がるのは出入口を多く設置することであるが、そうすると休憩所の利用の問題が発生し、反対意見が出てくるのが目に見えている。今更なのだが、この様に公共投資を見れば国民のためより既得権と言う利権を生み出すために血税を投入している実体が浮かび上がる。構造改革の民営化に置いても然りである。従前の公共事業では利権が少なくなったので、国民受けする民営化と称して利権を漁っているのである。郵政民営化など正にその典型的な事例であろう。新聞を読むから騙されるのである。騙されないためには、常識と言う目線で物事を見る必要がある。自己利益を図る輩は世間に対して発言が多いが、社会利益を考える人は控えめであることに気づくべきである。

天候異変で防災体制の見直しが急務

温暖化の影響で世界中が異常気象に見舞われているが、日本も例外なく局地的集中豪雨で被害が急増している。確かに、最近の集中豪雨は短時間で多量の雨が降るのだが、過っての集中豪雨と異なり、強弱が感じられない一方的な土砂降りである。日本の地形や都市構造から言えば正に近年の集中豪雨は国土整備の盲点を突かれたものと言える。特に、温暖化の阻止も国土整備も短期的に対処できるものではないので、気象異常を考慮した日本国土の防災体制を見直す必要があると思われる。なお、過去の公共事業は環境を考えずに進められたために山河や海の資源に影響を与えたので、新防災計画では、環境の再生をテーマに防災計画を立案すれば一石二鳥の成果が期待できる。もちろん、日本国の財政難から従来の様な公共投資は困難と思えるので、現行の各省の垂直予算方式ではなく、各省を一体化した水平予算を組んで行なう必要がある。また、国と地方の事業も一体化して優先順位を確定した予算配分を行う事も重要であり、実現するには党利党略を超えた政治が求められる。小選挙区になってから政党で候補者を選ぶ傾向が強くなったが、政治は個人の資質に負うことが大きいので、今度の衆議院選挙では、政界再編を考慮して個人の政治的信条を評価する必要があると考える。

派遣法改正に反対をする団体・会社などの真意

非正規雇用者を作った派遣法の改正が進められているが、新聞報道によると、国内に工場を持つ業界団体や人材派遣会社、更には労働組合が改正反対の署名活動を行っていると言う。反対者の中では、一番分かり安いのは人材派遣会社で、改正されれば雨後の竹の子の様に出現した派遣会社の経営が危機に瀕するからであろう。次に、業界団体であるが、国家国民のために業界団体が日本国内に無理して工場を維持しているとは考えられないので、景気の調節ベンとして非正規雇用者を利用すれば需要減時の労働コストを安易に削減出来るからであろう。非正規雇用者制度が変更されれば工場を海外に移転するしかないなどと言う馬鹿がいるが、海外の安い単純労働力しか必要ない工場は、景気と関係なく出てゆくのである。況して、中長期的な視点で考えられない小人物の多い経営者の言葉など信じるに足らない。情けないのは労働者団体の改正反対である。自分達が良ければ他の日本人がどうなっても構わないと言う、エゴ丸出しである。一時、勝ち組などと言う言葉が流行して、マスコミのインタビューに馬鹿な輩が私の会社は勝ち組なのでと誇らしげに答えた姿は醜悪そのものであった。会社は成長しないと生き残れないとは本当なのかと言いたい。成長と言う誤魔化しの論理に踊っている会社の寿命は長くない。適正規模で高収益を上げている会社も多いのである。その様な会社の目標は成長でなく、安定である。長い低金利の社会が続き、安易な投資を行なって規模の拡大を遂げてきた会社の真価が今回の金融危機で問われるのである。国の政策の変更で窮地に立たされる人材派遣会社には気の毒だが、その他の反対者に対しては非正規雇用者を犠牲にして勝ち組などといってきた天罰であるので、同情する気は毛頭なく気分が爽快である。

中小企業と自営業を支援する新しい政党を望む

自民党は「金持ち」と「大企業」の利益を守り、民主党は「大手企業の労働者」と「公務員の労働者」の利益を守る政党なので、「中小企業」と「農魚業や商店主の様な自営業」の利益を守る政党が見当たらない。もちろん、思想的や宗教的に偏った政党は除外しての意見である。20年前には社会党から分党した「民主社会党」と言う政党が存在し、基本的には「中小企業」、「右派の労働組合」、「自営業者」側の政党であった。多くの日本人はどうも右左が明瞭でないと判断できない人種の様で、「民主社会党」の支持者は伸びなかった。しかし、今日の様な格差社会の現出で、今こそ自民党と民主党以外の第三の政党として「中小企業」と「自営業者」の利益を守る政党の出現を望みたい。自民党を離脱した渡辺喜美が新しい政党を作るというニュースが流れているが、新政党の旗揚げが単に民主党政権に対してキャスチングボードを握るためのものではなく、真に国家と国民を憂いてのものならば是非支援したいと考える。我々は今こそ既成政党に"NO"を突きつけて自己利益を追求する立候補者でなく、愛国者の立候補者を応援する時である。誰もが成功者になれる社会がある筈はないのに、成功者だけを取り上げて努力が足りないと言うマスメディアと似非学者と政治家が主導権を握る社会体制など壊すべきである。

米国会計基準の決算報告で日本市場の株主説明に問題はないか!

日米の市場に上場している企業が金融危機で会計基準が緩和された米国会計基準で有利な決算発表を行なうケースが多くなってきた。NY市場の株主に説明するのに米国会計基準で決算するのは当たり前だが、日本の市場の株主に説明するのに米国会計基準で決算した報告書で行なうのはインチキであると思われる。今回の金融危機による不動産の下落や債券の評価替え等で大幅な欠損を出したために金融機関との取引条項に抵触して倒産を余儀なくされている会社が多いのに、米国会計基準で決算したことにより損失額が少なく計算する事が出来たのに拘わらず、如何にも健全な会社であるかのように振舞う姿に憤りを覚える。この様な不公平が許されるなら、経済市場主義など論外である。日本のメディアも御用学者もこれ等の不公平感に対しては消極的な対応だけである。市場が正しい判断をするなどと言う輩には、都合の良い選択で動いている不公平な現実に対して意見を聞きたいものである。尤も、弁護士だろうが、会計士だろうが、学者であろうが、尊敬に値する方々はインチキ仕組みの代弁者になってはいない。

経済成長率と言う戯言

経済成長率がプラスでなければ景気が回復しないと言う戯言が罷り通っている。GDP(国内総生産)が500兆円もあり、17年前のバブル経済時のGDP380兆円より120兆円も上回っているのに国民の多くが不景気感で充満している。尤も、過去3年~4年は地方経済を除けば経済成長率はマイナスであっても米国景気の恩恵を受けて景気は良かった。しかし、その割には過去の様な豊かさが感じられないのは、国民の多くが将来に対する不安から内需の拡大による景気の上昇の図式には程遠いからである。もちろん、昨今の消費が内需に直線的に結びつかないのは、グローバル経済の水平分業のためであり、海外の安い輸入商品を購入しても内需には影響が少ないからである。バブル経済崩壊後以降に拡大したGDP増加分は、社員の給料に反映したのではなく、大部分が借入金の圧縮と株の配当金に回ったために景況感に結びついていないのである。金融資本主義を信奉する学者やマスメディアは経済成長率をプラスに変えるしか景気が回復しない様な論調を展開しているが、消費による内需が拡大しないのは、水平分業で海外の安い輸入品が大量に日本に流入し、国内の産業が徐々に崩壊しているからである。この様な経済システムではGDPが拡大しても失業率が減少する事もなく、昔の様に平等に国民の所得が上がる事もないので、格差は拡大するばかりである。馬鹿な政治家は国民が蓄積した富を使えば景気は良くなるので、株式投資などにお金を使えと言うが、今の経済構造では海外に富が流失するだけで国内の景気に貢献することはないのである。安定した経済を実現するにはGDPの拡大ではなく、輸入と輸出のバランスの取れた経済構造の仕組みであり、雇用を維持するために国内で資金を循環させることである。私が言いたいのは従来の様な環境を破壊する公共投資ではなく、民活を利用する手法で国土環境を回復して漁業・農業・林業を活性化させ、それに伴って各種産業が各地で起きることである。グローバル経済の水平分業の推進は亡国を招くだけである。適正な経済規模で豊かさを実現する経済構造が必要なのである。

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