経済成長率と言う戯言

経済成長率がプラスでなければ景気が回復しないと言う戯言が罷り通っている。GDP(国内総生産)が500兆円もあり、17年前のバブル経済時のGDP380兆円より120兆円も上回っているのに国民の多くが不景気感で充満している。尤も、過去3年~4年は地方経済を除けば経済成長率はマイナスであっても米国景気の恩恵を受けて景気は良かった。しかし、その割には過去の様な豊かさが感じられないのは、国民の多くが将来に対する不安から内需の拡大による景気の上昇の図式には程遠いからである。もちろん、昨今の消費が内需に直線的に結びつかないのは、グローバル経済の水平分業のためであり、海外の安い輸入商品を購入しても内需には影響が少ないからである。バブル経済崩壊後以降に拡大したGDP増加分は、社員の給料に反映したのではなく、大部分が借入金の圧縮と株の配当金に回ったために景況感に結びついていないのである。金融資本主義を信奉する学者やマスメディアは経済成長率をプラスに変えるしか景気が回復しない様な論調を展開しているが、消費による内需が拡大しないのは、水平分業で海外の安い輸入品が大量に日本に流入し、国内の産業が徐々に崩壊しているからである。この様な経済システムではGDPが拡大しても失業率が減少する事もなく、昔の様に平等に国民の所得が上がる事もないので、格差は拡大するばかりである。馬鹿な政治家は国民が蓄積した富を使えば景気は良くなるので、株式投資などにお金を使えと言うが、今の経済構造では海外に富が流失するだけで国内の景気に貢献することはないのである。安定した経済を実現するにはGDPの拡大ではなく、輸入と輸出のバランスの取れた経済構造の仕組みであり、雇用を維持するために国内で資金を循環させることである。私が言いたいのは従来の様な環境を破壊する公共投資ではなく、民活を利用する手法で国土環境を回復して漁業・農業・林業を活性化させ、それに伴って各種産業が各地で起きることである。グローバル経済の水平分業の推進は亡国を招くだけである。適正な経済規模で豊かさを実現する経済構造が必要なのである。

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