今回の空港問題で前原国土交通省大臣が決断しなければならないのは関西新空港の問題である。なぜ問題なのかは建設の経緯と建設後の問題点を再検証する必要がある。前原国交省大臣は、大阪府知事の関西新空港のハブ化の要請を受け流したが、大臣は関西新空港の真の問題点を把握しているかどうかである。もし、把握していて受け流したとすれば評価に値し、今後の関西新空港の対応に関して期待が持てるが、今後はお手並み拝見である。関西新空港計画の建設経緯を知らないとこれから説明する関西新空港の廃止論を理解できないと思うので、先ず建設経緯から入る事にする。当初、関西新空港の建設候補地は神戸沖であった。神戸沖は地盤が良く工事費も安く出来るので、当時の運輸省では兵庫県と神戸市に建設計画の同意を求めたのである。これに対して、神戸市は騒音などの理由で反対し、その結果地盤の悪く潮流の激しい泉州沖を建設地として選択するしかなかったのである。関西新空港の建設に際しては埋立地の軟弱地盤の地盤沈下に対して新たに地盤改良技術工法を開発して望んだが、結果的には色々な誤算があり、膨大な建設費の投入が強いられ、現在でも維持費として相当の金額が必要となっている。なお、関西新空港の建設後には大阪空港の廃止が前提であったが、何故か現在も残っているし、神戸沖の新空港計画が神戸市の反対で出来なかったので、当時の運輸官僚は絶対に神戸沖に空港は造らせないと言っていたが、不思議な事にその後神戸空港が建設されている。その結果、3空港が乗客を奪い合って膨大な建設コストが掛かった関西新空港の経営は厳しいものとなっている。以上が簡単に纏めた経緯だが、遠くて不便な上に地盤沈下や激流で維持費が掛かる関西新空港に関しては今後とも経営が成り立つ見込みはないのであるから、政権交代を機に関西新空港を廃止し、更に大阪空港も廃止し、神戸沖空港を拡張して国際空港にして採算性の取れる空港の姿にするべきである。関西新空港の建設は関西財界の要請であったが、運輸省の当初の神戸沖という考え方は間違っていなかったのである。残念なのは神戸沖に固執していれば良かったのを早々と将来に問題が出そうな泉州沖に建設地を決定して今日の問題を生じさせた事である。この泉州沖の決定は政治家と関西財界の圧力に屈した官僚の姿が見える。今日では官僚が悪者になっているが、行政の判断を歪めているのは何時の時代でも政治家と産業界の連中なのを忘れると国民は痛い目を見ることになる。前原国交省大臣は羽田沖をハブ化する考えの様だが、首都圏に国際空港は2つも必要としないので、遠い成田空港の利用客は減少することになることは目に見えている。国際空港が中心地より離れているのは何も日本に限ったことではないので、なぜ前原国交省大臣は羽田に固執しているのか不明である。大して知識もなく、回りの仲間の海外に行くのが羽田が近くて便利だからと言う意見で決められては迷惑である。然も、日本航空の再建と絡んでのことなら尚更である。政治家として遣るべき優先度は、羽田でなく関西新空港の問題である。日本航空は民間企業であるので、再建に国が口を挿むべきではない。
民主党の政策転換不況の直撃に備える必要有り
民主党政権は金融危機の経済低迷や消費不況の中で走りながら政策変更を行なうのではなく、自民党政権時代の景気対策用の補正予算を削って来年度の通常予算に振り返る作業だけを優先しているため、今後は政策転換による需要減少の消費不況が直撃する可能性が高く、企業はその直撃に耐えうる備えが必要となる。民主党政権が発足して分かった事は財務官僚主導の財政再建を優先する緊縮財政内閣になるということである。また、民主党は特別会計を財務省主導で改革し、事業の是非を判断する事になると思うが、問題は事業の是非の判断を的確に判断できるブレインがいるのかと言う疑問である。鳩山政権は内需によって景気回復させると表明しているが、円高によるデフレと株安で何が内需拡大かどうも分からない。勿論、自民党政権と異なる政策は大歓迎だが、補正予算を削減して来年度に振り返るだけでは時間経過のマイナス効果しか生じない事を認識しているかどうかである。何れにしても、中・長期的には政策変更の効果が出るかもしれないが、短期的には政策変更による需要減の消費不況が直撃すると思われるので、中小企業はその政策転換不況に備える必要があると思われる。