財務官僚が円高容認の発言をしたと言われて急激な円高となっている。リーマンショック後の円高の図式は簡単である。欧米諸国がリーマンショックの経済悪化を防ぐためにお金をジャブジャブ流して過剰流動性にしたが、日本だけは相変わらず小刻みの金融緩和政策だけなので、デフレ経済も解消しないので、世界中の通過の中で円だけが価値が下がらない通貨として買われているのである。この様な背景にあるのでは、ドル買い円売りなどを日銀が行っても焼け石に水だ。リーマンショック後の日本の金融政策を見ていると、戦前の大恐慌時代に無謀な金を解禁した井上準之助大蔵大臣を想起する。経済学者によると、井上準之助の金解禁は理論的には正しかった様だが、第一次世界大戦で焼け太った日本企業の真の実力を過信したために多くの企業が倒産して裏目と出たのであった。今の財務官僚や日銀マンを見ていると、国内で円の過剰流動性を高めても投資先がないので無駄と考えていると推定できる。その根拠のひとつとしては、日銀マンが書いてベストセラーになった「デフレの正体は人口減」である。また、財務官僚などは大手企業の内部留保資金を見て市場に金が不足しているのではなく、投資先がないから過剰流動性を高めても仕方ないと考えているものと推察される。日本の官僚の間違いは大企業中心の考え方であり、中小企業など眼中にないために起きているのである。今正に、中小企業には資金がなく、東日本大震災と福島原発事故による消費減少に対して苦しんできている。それなのにこの急激な円高である。金解禁の金融政策の失敗は井上準之助の暗殺と後任の高橋是清の金融政策によって修正され、国民は救われたのである。高橋是清は子供時代から苦労した人で、世間に精通していたからこそ大恐慌から脱する政策を理解していたのである。頭でっかちで机上の理論先行で実社会を理解していない財務官僚と日銀マンが日本の金融政策を牛耳っている限り本経済が回復する事はない。多くの馬鹿な政治家が財務官僚の尻馬に乗って増税発言をする姿は亡国の輩以外の何者でもない。円高は円の過剰流動性で阻止できるのである。日本の金融政策を変えるには戦前の様な荒療治が必要である。