米国に壊された世界経済

世界経済の今日の混乱の萌芽は米国のレーガン政権から始まっている。当時の米国はベトナム戦争の後遺症で物質的精神的にダメージを受けて経済が低迷していた。レーガン政権が行った政策は軍事と国家の再建であるが、軍事の方は旧ソ連との核競争に終止符を打つことであり、経済政策は規制緩和を進めて民間に任せられる部分は民間に任せて小さな政府で財政再建を果たすことであった。然し、レーガン政権時代には想定できなかった旧ソ連の崩壊と急激なIT革命による情報化社会の出現であった。レーガン政権時代には石油ショックから立ち直った日本が世界経済の先頭を走っていた。米国は太平洋戦争以来となる再度日本の強さの秘密を徹底的に研究し、日本弱体化のシナリオを書き始めていた。日本研究の結果、日本の経済の強さは、一つには含み経営、二つには政治の安定、三つには優秀な官僚組織と分析した。この分析に従って、米国は日本叩きを開始した。勿論、当時の日本人が米国本土の土地や建物を買い漁って米国人のプライドを傷つけたことが大きな原因と考えられる。日本叩きと同時に規制緩和や逆に世界に躍り出た日本の金融機関に対する規制となる資本率の問題も議論になった。今から振り返るとグローバル経済では当然な事だが、当時の日本は会計基準一つとってもグローバル化には遠い存在であった。しかし、この点に目をつけた欧米は会計基準の問題で日本の含み経済を攻撃し、更に資本率の低い日本の金融機関に対し海外の活動する場合には資本率の引き上げを求めたのである。この他に、プラザ合意で急激な円高と内需拡大の要請による500兆円公共投資プロジェクトの推進を求められた。この後の事は周知の事実だから書くのは止めるが、日本のバブル経済崩壊とその後のデフレ経済で日本は沈没した。この間、レーガンとブッシュ父政権の後に誕生したクリントン政権がゴールドマンサックス出身のルービン財務長官などを起用して金融緩和を更に進め、IT技術と相俟って多くの金融商品を開花させた。旧ソ連崩壊とIT技術がグローバル化を推進し、世界経済が繋がったのである。ベトナム戦争時に大量のドルを印刷したので、実体経済以上に世界にドルが流動する様になり、然も北朝鮮の偽ドルの蔓延もそれに拍車を掛けた。フローしたドルが獲物を狙って投機資金として動き回り、アジア通貨危機を招いた。その後、米国はIT経済に陰りが出てきたので、国内の住宅など不動産投資に資金を提供し、資産バブルを引き起こした。資産バブルに一役買ったのはサブプライムローンなどインチキ金融商品であった。金融商品のバブルには格付け会社が後押しし、金融化商品のリスクを避ける為の金融商品を生み出すに当っては、誰もが実態を解明できない迄に複雑化した金融商品が世界中にばら撒かれた。金融商品をばら撒いた主役はユダヤ人だ。ユダヤ人が経営する金融機関や投資ファンドは儲けを企んでマッチポンプ紛いの行為を行い、獲物を捜し求めた。ギリシャの問題などは、ギリシャに財政問題でゴールドマンサックスがインチキを教えてEU加盟させた事が発端だ。今回のEU各国の国債発行金利の上昇は全て米国の投資家が仕組んだ危機であり、金儲けのために国家まで破壊させる動きは看過できないもである。ドイツなどは米国の企みに気づき、金融資本主義からの脱却を模索する動きに出て来ている。米国に破壊された世界経済は米国不動産の資産担保証券(ABS)の時限爆弾を抱えており、予断を許さない状況が続いている。

業界紙の日本経済新聞が一般紙並みに影響力を持ってきた危なさ

日本経済新聞と言えば業界の太鼓持ちと相場が決まっていたので記事の信頼性など評価していなかった。特に、政府関係の記事に関しては、政府が国民の反応を探るために意図的にリークしていることが通説だったので、日経はまたお先棒を担いだかと理解したものであった。日経新聞と言っても所詮は業界紙なので、バイアスが掛かった記事に関しても軽視していたが、若い世代が一般紙以上に日経新聞を読んでおり、記事の信憑性に疑問を持っていない姿を見ると本当にやばいと思うようになった。TVのCMも旨いのだろうが、新興企業の社長などが社員に日経新聞を読まない奴は駄目だと発言しているのも普及の手助けをしている様だ。社会経験の浅い若い社員にのみならず、ある程度成功した人達まで日経新聞を無批判に信用していると思うと、戦前に軍部のお先棒を担いで国民を戦争に駆り立てた朝日新聞を思わざるを得ない。確かに、日本が競争社会になり、年功序列制度が崩れてきた現代においては、一般社会の記事より、経済専門の新聞の方が有用と考えるかもしれない。然し、人間の成長を促し、大局的に物事を見れる力を養うには、何事も偏らない情報を得ることが肝要なのである。私が20代に海外、特に韓国経済をウォッチする仕事をしていたために、ソウル経済新聞と言う業界紙を読んでいた。日経新聞は海外の経済紙と提携してたかもしれないが、ソウル経済新聞の一面に掲載された記事を一日後に日経新聞の一面に一字一句違わずに掲載されたのを見た時には驚いた。日経新聞の関連雑誌の日経ビジネスに元日経新聞の記者が、ソフトバンクの孫社長に取材すると孫社長は記者を媒介人としか見ないので空しさを感じると書いている誌面を見た。私は日経の元記者の考えかには驚いた。確かに、記事を面白くするために何かを引き出すやり取りも必要なのだろうが、無理に聞き出す内容に真実があるのだろうかと思うと同時に、嘘でない限りは取材した相手の言葉をそのまま伝えるのが仕事だろうとも思った。記者に勝手に解釈されて記事を掛かれては取材を受ける側にとっては危険極まりないことになる。況してや、記者も他の業界や政治家に繋がっていたら余計にリスクが生じてしまう。海外の新聞記事を丸ごと載せている新聞社の記者の言うことではないと笑ってしまった。国民にとって新聞記事は媒介人として何も思惑がなく掲載してくれることが重要であり、記者のバイアスが掛かった記事など読みたくもない。最近の日経新聞を読むと、財務省の言いなりで記事を書いていることが良く分かる。財務省の主張が国家のためになると信じて財務省の政策を支援しているなら、取材源が財務省と書くことだ。財務省を隠して記事を書いていること自体がやましいと言わざるを得ない。一般紙以上に業界や政府の影響を受けて書いている業界紙が、国民に大きな影響力を持つこと自体が国家の先行きに危うさを感じる。新聞記者など耳学問の最たるものなのに、取材先の業界で汗を流した経験もないくせに偉そうな物言いをする記者を見ると反吐が出る。一般紙も酷いが業界の日経新聞はそれ以上に政府の言いなり記事を書いているので、日本の先行きに不安を感じる。

財務官僚主導の日本は日露戦争の旅順攻撃と同じだ

現代日本の社会を見ていると、日露戦争の時の乃木希典と配下の参謀が行った旅順攻撃と同じ過ちを犯していると思わざるを得ない。日本人の欠点の最たるものは、目的を目的化して他が見えなくなるということである。財務官僚が野田総理を洗脳して断行しようとしている消費税大幅アップなどはその典型的な事例になると思われる。財務官僚が日本の政治を主導する限り、日本国民は正に旅順攻撃に向かわされる攻撃将兵と同様に死地に行かされることになる。学問中心主義のエリート教育の弊害が頭の固い柔軟性がない人間を指導者に育成してしまう。学問エリートは机上の理論を組み立てるのは旨いので、論理的には反論できない様に見える。然し、実戦(実践)を経験してきた者から見れば、本質を見ていないで枝葉末節に拘ったものであることが直ぐに分かる。木を見て森を見ずの類である。先日放送されたNHK「坂の上の雲」で日露戦争の二〇三高地攻撃に対する児玉源太郎と乃木の参謀との遣り取りに興味深い部分があった。児玉が攻撃に際して大型大砲を15分間隔で砲撃することを指示した時に、砲兵参謀が攻撃将兵を誤射する可能性があり、天皇の御子を天皇の砲弾で殺すことは出来ないと反論した件である。それに対して児玉は、此れまでの無謀な攻撃で多くの将兵を殺したのに何が誤射するから出来ないと怒って言った言葉が印象的で、正に現代社会では"公平"と"平等"とかの言葉に置き換えれば同様の理屈で全てが反論できない状況となっていることが理解できる。その為に毎年3万人の自殺者が出ている社会が改善もされずに放置されてきているのである。サラ金予算の仕組みも変えずに消費税だけ上げる遣り方は正に無謀な旅順攻撃と同じである。太平洋戦争においてエリート軍人は国民を消耗品として考えていたが、現代社会の財務官僚も同様ではないかと推定できる。学問エリートの政策などに従わないことがグローバル社会で生き残る方法であり、無能な政治家に対する反論である。現状維持の消費税アップなど言語道断であり、行政の大改革と国会議員定数の半減なくして断固消費税など値上げさせてはならない。財務官僚の「公平」や「平等」と言うインチキ言葉に騙されてはならない。

"坂の上の雲"に見る人間教育の問題点

NHKが年末に特別番組を組んで放送している司馬遼太郎「坂の上の雲」のドラマが3年目の今年で完結編を迎えている。昨日は乃木希典の旅順攻撃の場面であったが、この戦では人の教育と言うものを考えさせられる。乃木は吉田松陰も教えを受けた人物から幼少の時から学問を学び、乃木の書いた文章や詩は天才的であった。一方、乃木の窮地を救った児玉源太郎は、毛利藩の支藩である徳山藩の中級武士の子供として育ち、幼少の頃に身内の暗殺死体を一人で処理するなど学問では学べない経験を有している。幕末の戊辰戦争には二人とも10代で参加しているが、二人とも多くの戦場を経験した訳ではない様だ。しかし、児玉源太郎の方は明治期に起きた多くの騒乱の鎮圧に参加して手柄を立てている。又、児玉源太郎は明治陸軍に教師として招聘したドイツ人将校メッケルから多大な評価を受けている。学問主体に作られたエリートの乃木と幼少の頃から逆境にあって実務で頭角を顕した児玉との差は歴然であった。乃木と配下のエリート参謀が正攻法の作戦しか立てられずに多くの将兵を突撃だけで死なせたのだが、児玉は機転と戦争における非常さの中での最小限の被害で勝利すると言う考え方で作戦を立てる柔軟な思考の持ち主だった。この様な柔軟な思考は幼少よりの実践の中で培った能力と思われる。翻って、現代社会の指導者を見ると、正に学問主体の乃木の様なエリートしか見当たらない。乃木は確かに頭がよく学問の能力にも秀でていたのだろうが、今言われている地頭の良さは養われていなかったと推定できる。学問が出来る者には良く見かけるのだが、融通が利かない頭でっかちと言う欠点である。今の日本は幼少の頃から塾に通わせられて正解だけを追い求める子供が指導者になっている。現代社会の悲劇は、日露戦争の時の無謀な旅順攻撃を何度も行った乃木と配下の参謀の様なエリートが、国などの指導者に君臨していることである。日本社会は非エリートから這い上がった優秀な人物が度々国を救ってきた歴史があるが、近代社会になって教育一辺倒の人材が登用されるようになってからは国家の方針に間違いが生じてきている。その最たるものが官僚政治である。昭和の陸軍が無謀な戦争に走ったのは、幼年学校から入学した学問エリートの参謀たちが支配したからである。知識があっても知恵がない輩が偉そうに国の進路を決めている姿に慄然とする。財務官僚などはその筆頭であろう。並みの頭でも子供の頃から勉強すれば一流大学には入れるのである。一流大学イコール頭の良さではないことを認識しなければ日本社会は良くならない。知恵がない学問エリートを評価しないことが良き社会を作る最も重要な点だ。

欧米諸国のイラン攻撃が迫ってきているのか!

欧米の経済危機の報道と相俟って欧米諸国から独裁政治国家と名指しされている国々が倒れたり混乱している。ICTなどの情報技術がアラブの春など民衆の蜂起の原因と言っているが、シリアとリビアで異なった現象が起きている。シリアの様に資源がない国には欧米諸国は武器等を供給するなどの支援を行わないが、リビアには人まで送って支援している。勿論、欧米諸国はリビアから原油を輸入しているので、内紛が続くと経済がより悪化するので沈静に手を貸したと言う大義名分はある。然し、米国のイラク戦争が捏造した情報で開始された様に、真実は別な所にあると見るのが常識だ。欧米の経済危機と資源争奪戦争とが平行して起きていると見るのは穿ちすぎだろうか。昔から経済危機を乗り切るのは戦争が一番効果的と言われている。米国の9.11事件も未だにCIA関与説が消えないのも、イラク戦争は9.11によって引き起こされたもので、その背景には米国のITブーム崩壊の不況期に入っていたからである。その様な視点で見ると、次のターゲットはイランであることは間違いない。今朝のNHKニュースで野田政権は欧米に追随してイランに対して経済制裁を強化したことを報道していた。これにより、野田総理のスタンスが見えたのだが、野田が公務員の息子、然も自衛官の息子であることが米国追従政治になり、今後は中国と軋轢を生む可能性が高いことを予想される。日本の間違いは明治維新後にロシアと戦うために英国と同盟を結び植民地主義政策を進めたからに他ならない。日清戦争後、日本が中国と手を結んで中国の近代化に協力したならば全く別な日本社会が存在していたと思われる。日露戦争に戦時国債を購入して資金を出したのはユダヤ人であったが、購入したのはロシア内に生存していた500万人のユダヤ人がロシア帝国の圧制から解放したい一念からであったことが現代になり分かった。マスメディアも金融もユダヤ人が支配している状況は現代でも変わらない。尤も、エジプトの様にイスラエル国家に対してプラスに働かない動きもあるが、欧米政治が関与しているので、それも織り込み済みかもしれない。過去の歴史から見れば、イスラエルを脅かすイランの存在は看過できないと思われるので、イランの原子力開発に難癖を付けて戦争を仕掛ける可能性は高いのである。然も、欧米諸国は戦争をしたくて獲物を探し求めている。野田総理は父親に勧められて政治家の道を目指したと述べているが、父親が自衛隊でどの様な職務についていたか一切報道されていないことに疑問を感じる。穿った見方をすれば必要以上に米国に協力する自衛官であったならば、その息子の野田総理も自ずからその道が正しいと信じて突き進むかもしれない。消費税値上げの一直線、TPP参加問題、今回のイラン経済制裁強化と見てくると、米国は野田総理を親密なパートナーとして機密情報を提供する代わりに、日本のコントロールを強める可能性がある。もし、現防衛大臣が辞職し、次の防衛大臣に誰を就任させるかで推測が当っているかどうか分かる。その観点から言えば、大阪市長選の橋下攻撃の主体は米国であったと思われる。橋下大阪市長の動きは米国にとっては日本支配において目の上のタンコブと言えそうだ。荒唐無稽と言われそうだが、ひとつ言えるのは欧米諸国のイラン攻撃が迫っていることだ。欧州のソブリン危機ばかりに気を取られていると間違った見方をしてしまうので要注意だ。

「Beフラット」を読んで

30台の若手女流作家「中村安希」の書いたノンフィクション"Beフラット"を読んだ。日経ビジネスの誌面で採り上げていたので、興味が湧いて週末に住まい近くの書店を覗いたが置かれてなく、アマゾンで購入するしかないのかと考えていたら隣駅の駅ビル内にある書店で1冊だけ置かれていたのを見つけて購入した。本の内容は日本の若手国会議員、世襲政治家でない者を対象にインタビューしたものだが、単なるインタビューの記載ではなく、作家の留学体験や帰国後の派遣社員の体験、そして海外諸国訪問の体験を交えながらの国会議員の考え方に言及したものであった。著者の中村安希は高校を卒業後米国の大学に留学し、卒業後3年間米国で働いて帰国し、その後は派遣社員として色々な体験を積んでいる変わった経歴の女性だ。彼女は当然に米国社会の良い面と悪い面を見てきている。帰国後の派遣社員として働いて日本社会の酷さも知った。そして海外諸国を歩いて多くの国で日本の評価も体験した。この様な体験の持ち主の作家が若手国会議員18人にインタビューして感じた日本の政治の印象は私が想像したことと同じであった。少数の議員を除けば殆どの議員は通常の社会ではうだつの上がらない連中が政治家になっていたと言う現実だ。この本を読むと日本の政治は変わらないと言う思いを強くした。実社会の経験が少ない者が机上の理論を唱えている姿にはあきれる他ない。その様な者が国民が国家に甘えているとか、耐える精神が欠如しているとか非難する自体に呆れる。この本の中に実名で登場している政治家は評価できるとしても「良貨を悪貨が駆逐する」と言う諺を思い浮かべると日本の将来は暗い。著者は特に最初から政治家を目指し政経塾などに学んで政治家になった人物に対して批判的であり、少なくても政治家として志すなら実社会を経験する必要があると書いた場面である。私も同感であるが、その観点から言えば、実社会経験のない現在の野田総理は最悪になりかねない。尤も、官僚にとっては洗脳出来やすいので好都合であろう。官僚の催眠術に掛かった様に行政改革など無視して消費税の増税一直線であり、国民の議論など無視したTPP参加の決定など単細胞の理由が理解できる。みんなの党の若手議員が消費税の増税でフラットな社会造りを唱えているが、理論は正しくても行政改革や予算の仕組みを変える発想がなければ、逆に財務官僚に利用されるだけであろうと思われた。何れにしても実名で登場した国会議員達は人物に優れていると思われるので、政治に失望しないで頑張って欲しいと思う。然し、著者の見た政治家は若手ばかりでなく、中高年の政治家の殆どが実社会では通用しない人物が国会議員であることに敷衍するとこの国の将来に不安が起きる。特に小選挙区制度になって国会議員の質が落ちたと思われるので、国民は最悪の選択を行ったと考えざるを得ない。国民は議員削減と同時に「選ばない権利」を主張し、選挙制度の改革を国会に求める必要がある。

EUで起きている問題には理由がある?

ギリシャに端を発した国の信用不安は金融機関を巻き込んでEU内の各国に波及し、更に世界経済に悪影響を及ぼそうとしている。この混乱をどの様に見るかで今後の世界経済を行く末を見るのが大きく変わる。EUの通貨統合で指摘されていた欠陥が正に露呈している訳だが、全く別な観点で読み解くと違った姿が見えてくる。確かに、リーマンショックがEU経済の混乱の引き金にはなったが、本当にその事が全てであろうか。情報化技術の急速な発達で世界経済はグローバル化したのは事実である。そしてグローバル化が時代の流れと見るとEUの進めていた政策は流れに逆らっていたと見える。メディアの報道では世界共通のスタンダード作りが進んでおり、その中に参加していないと多くの面で主導権が奪われ、従属的になってしまうことを指摘していた。表面的に見るとその通りであるが、よく考えるとIMFの唱える自由貿易とは相反する面があると思われる。その理由としては、世界経済は現時点では各国の国内法や制度で差別化されており、その差別化には理由がある訳だが、その理由を無視したEU内で通じるスタンダードを国際標準にする遣り方は無理があると考えられる。国際標準とは聞こえが良いが、よく考えるとEU内に製品などを輸出するにはEUが打ち出したルールに従えと言うことであり、見方によってはブロック経済の変形と思われる。このEUの動きに一番危惧したのは米国であると思われる。米国は世界貿易に必要な通貨を供給し、第二次世界大戦以降は常に世界経済の主導権を握ってきたからである。特に、ブロック経済を危惧しているのは世界の金融やメディアを牛耳っているユダヤ人達であると推定できる。穿った見方をすれば、リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンなどやCDSなどの商品はEUがブロック経済化するのを壊す役割で開発されたと考えても可笑しくない。実際の所、正にリーマンショックはEUを揺さぶっており、崩壊の危機に直面している。この点から言えば、米国のTPPもブロック経済になるので、時代の流れに逆行したものと考えられる。陰謀説は余興だが、時代の流れに逆らうと破壊されると言う観点から見れば、EUの混乱は正に経済圏の拡大と貿易囲い込み的な方向に向かったのが天の怒りをかったと考えられる。何れにしても、グローバル化では国際基準が必要なのは当然だが、その基準がひとつの経済圏を基準にしたものではブロック経済化する恐れがあり、IMFの自由貿易に反することになる。更に、貿易の主導権争いが米国のTPP推進の様な新たなブロック経済化になるのでは、日本の様な加工貿易立国が成り立たなくなる。情報化の時代になりグローバル化が世界に君臨した独裁者を放逐し民主化が進んでいるが、一方では新保護貿易主義となる国際標準作りと言う名の下にブロック経済の芽が出てきている。IMF理事長が自由貿易を守るためにEUを救済する必要があると言う言葉には説得力がない。
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