愛宕一丁目計画案の異常さ

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森ビルの愛宕一丁目計画案の説明会が入居ビルのポストに入っていた。

計画概要を見て目を疑った。・敷地面積6,535.76㎡に対して容積対象床面積が78,420㎡と指定許容容積率600%の2倍の1200%であった。

更に、驚いたのは延べ床面積が121,000㎡と容積対象床面積の1.54倍の異常さであった。対象の土地は、第二種住居地域と商業地域で構成されており、風致地区であるエリアである。安倍ノミクスの特区に指定され、再開発促進区で地区計画区域となったが、何故か他の同様な区域と比べても恵まれ過ぎた計画案となっている。

添付図は計画概要だが、都知事選でも都会議員の利権が指摘されていたが、当該計画概要も小池知事には都会議員の関与がなかったどうか調査することを提案したい。確か、当該計画の様な場合には、都議会議員で構成された委員会で審議されると言う記事を目にしたが、大盤振る舞いの計画案を黙認する代わりに、建築工事に際して息のかかった業者を使ってもらう話がなかったとは言え切れなくなった。今にして思うと、都内の多くの場所で都の職員が一部の地権者に便宜を図っているケースが近年になく目立っていた。

都知事選挙で自民党の実力都会議員が利権を我が物にして都の職員を使っているのは許せない事だ。愛宕一丁目計画が同じ特区でも恵まれ過ぎた計画になった理由を問いただす必要がある。しかし、景気回復を理由に不公平なことを平気で行う政治など国民の為にはならない。日銀のマイナス金利も保険会社に積み立てた個人年金を減少させるなど景気回復とは逆な手法を取っている。過去の経済バブル以上の資金が不動産投資に流れている記事が掲載されていたが、建築した投資マンションの入居率は下がるばかりだ。少子高齢化社会で多くの工場の海外移転後の日本では、現行の政策では経済成長など覚束ない。景気回復させたいなら預金金利を上げられる政策で、消費者に金を使わせることだ。財政的に医療費や年金を削減する方向にいっているので国民は金など使わない。今回のツケがどの様な形で来るのか今から考えておいた方が良い様だ。

何時か来た道!!

弊社が世田谷区内で管理組合業務代行を受託しているマンションで興味ある出来事があった。同マンションは小田急線の環状八号線を超えない駅から徒歩3分ほどの便利な場所にあるが、築年数35年で1階に店舗を持つ小規模なものである。6階の最上階にある部屋の所有者が急逝し、相続人の娘さんが売却したのだが、購入者は業者であった。業者はリフォームして売りに出したのだが、販売価格は相場より20~30%高い設定で、1ヶ月くらいで転売できた。販売価格で売れたかは不明だが、今度の買い手も業者の様だ。所有権移転したにも拘わらず所有者変更手続きを行わないので、多分転売目的で購入したと推定出来る。

このことがなぜ興味を引くかであるが、建替え時期が来た都心の規模が大きいマンションや開発エリアに位置する立地するマンションでもなく、どう分析してもマンション転がしの対象になる物件ではない為である。東京オリンピックに向かって都内の土地価格は上昇気味だが、現在の相場は土地投機と思われるほどは上がっていない。しかし、建築費に限れば1~2年で2倍以上になり、恐るべき建築コストインフレだ。高騰の理由は資機材の上昇ではなく、偏に人件費の上昇と言えるが、建設会社としては仕事量が多いので、安く請けることはないからでもある。古い話になるが、弊社が等価交換と言われる方式でマンションの共同再開発事業を推進していた時の事だが、当時も土地価格以上に建築費が高く、。デベロッパーと地権者の交換比率は70対30であった。この話をすると誰もが信じられないと言う顔をするが、真実である。当時の建築費が高かったのは人件費のためでなく、資機材が高かったからだ。何れにしても、土地価格に対する建築費が1975年当時に回帰した訳であり、この現象から派生するのが今回の世田谷の小規模なマンションの区分所有転売とするならば、いつか来た道になるかだ。

マイナス金利が効果を現し、不動産投機が生じてきたかは判断できにくいが、今後はインカムの収入の賃料の動きを注視する必要がある。不動産証券化以降は需給のバランスなど関係ない不動産投資が行われて来ており、それを支えているのが、規制緩和や景気回復に対する政策、更には省エネなど既存ビルに対する競争力を持った建物だ。この為、既存ビルは競争力を弱め、新しいビルは競争力を高める図式は今後も続くと思われるが、既存ビルも発想の転換によるリノベーションで競争力を回復しているケースも見受けられ、引き続き判断に困る状況が続くと推測される。AIやロボットなどIoTにおける科学技術の進歩の波も不動産業界に押し寄せるのは間違いなく、世田谷の小規模マンションの区分所有の転売で利益を得る事が今後も可能かは、結局、資金の供給先の問題に帰結する。

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