何時か来た道!!

弊社が世田谷区内で管理組合業務代行を受託しているマンションで興味ある出来事があった。同マンションは小田急線の環状八号線を超えない駅から徒歩3分ほどの便利な場所にあるが、築年数35年で1階に店舗を持つ小規模なものである。6階の最上階にある部屋の所有者が急逝し、相続人の娘さんが売却したのだが、購入者は業者であった。業者はリフォームして売りに出したのだが、販売価格は相場より20~30%高い設定で、1ヶ月くらいで転売できた。販売価格で売れたかは不明だが、今度の買い手も業者の様だ。所有権移転したにも拘わらず所有者変更手続きを行わないので、多分転売目的で購入したと推定出来る。

このことがなぜ興味を引くかであるが、建替え時期が来た都心の規模が大きいマンションや開発エリアに位置する立地するマンションでもなく、どう分析してもマンション転がしの対象になる物件ではない為である。東京オリンピックに向かって都内の土地価格は上昇気味だが、現在の相場は土地投機と思われるほどは上がっていない。しかし、建築費に限れば1~2年で2倍以上になり、恐るべき建築コストインフレだ。高騰の理由は資機材の上昇ではなく、偏に人件費の上昇と言えるが、建設会社としては仕事量が多いので、安く請けることはないからでもある。古い話になるが、弊社が等価交換と言われる方式でマンションの共同再開発事業を推進していた時の事だが、当時も土地価格以上に建築費が高く、。デベロッパーと地権者の交換比率は70対30であった。この話をすると誰もが信じられないと言う顔をするが、真実である。当時の建築費が高かったのは人件費のためでなく、資機材が高かったからだ。何れにしても、土地価格に対する建築費が1975年当時に回帰した訳であり、この現象から派生するのが今回の世田谷の小規模なマンションの区分所有転売とするならば、いつか来た道になるかだ。

マイナス金利が効果を現し、不動産投機が生じてきたかは判断できにくいが、今後はインカムの収入の賃料の動きを注視する必要がある。不動産証券化以降は需給のバランスなど関係ない不動産投資が行われて来ており、それを支えているのが、規制緩和や景気回復に対する政策、更には省エネなど既存ビルに対する競争力を持った建物だ。この為、既存ビルは競争力を弱め、新しいビルは競争力を高める図式は今後も続くと思われるが、既存ビルも発想の転換によるリノベーションで競争力を回復しているケースも見受けられ、引き続き判断に困る状況が続くと推測される。AIやロボットなどIoTにおける科学技術の進歩の波も不動産業界に押し寄せるのは間違いなく、世田谷の小規模マンションの区分所有の転売で利益を得る事が今後も可能かは、結局、資金の供給先の問題に帰結する。

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