チャーチルの「第二次世界大戦」を読んで!!

ロシアのウクライナ侵略を見てチャーチルがノーベル賞を得た「第二次世界大戦」を読んでみた。その後に、現在の英国のジョンソン首相が書いた「チャーチルファクター」も補完的な意味で読むことにした。欧州にヒットラーが出現し、短期間に武力で欧州の大半を手中に納めたが、欧州大陸から離れた島国である英国の宰相のチャーチルが徹底抗戦することによってヒットラーの野望を砕いて民主国家を守ったのには不思議な力の存在を感じざるを得なかった。チャーチルの人生は第二次世界大戦で民主国家を守るためにあったような気がしたからだ。チャーチルは英国では名門の貴族の家に生まれたので、本来ならば父親と同様にオックスフォード大学かケンブリッジ大学の何れかに進学して政治家の道を目指したのだろうが、チャーチルは軍の士官学校に入り、軍人としての経験を学んでいる。著書には軍の士官学校に進んだ明確な理由は書かれていなかった。しかし、先祖が欧州の戦いで勝利した家柄を誇りにしていたので、戦争を経験できる軍の士官学校を意図的に目指したと推定も出来る。チャーチルの評伝には学力の面で劣っていたと書かれているものもあるらしいが、多くの著作を見る限り能力がなかったとは思われず、然も金銭的には問題ない家柄であったことを考慮すれば戦いの場に行きたい希望が強かったのかもしれない。チャーチルの個性で興味があるのは母親は米国人であり、その父親は銀行を作ったりしたビジネスで成功した血を引いていることだ。戦闘的な性格や不屈の精神は英国の貴族の先祖と米国の開拓魂を持つビジネスマンの両方の血を引いた結果とも思われる。戦場に臨んだ人の感想は民族を問わなく、最近読んだ辻正信の評伝にも書かれていたが、銃弾から逃げようとすると逆に弾が当たり、銃弾に向かうと意外と弾に当たらないことをチャーチルも書いている。勿論、銃弾が怖いことには違いがなく、怖い以上に他の人とは違う精神を持っているのかもしれない。チャーチルの非凡さは日米のミッドウエイ海戦における日本軍の不可解な行動に関して言及したことを読んで驚くべき洞察力を持っていたことが分かった。チャーチルは日本語が指示伝達に不都合な言語と理解していた。確かに、日本語は英語と比較して曖昧な両方に取れる表現が可能であり、責任の所在が不明確になるし、本来の意図が伝わらない可能性もある。チャーチルはインドは別として黄色人種の日本人や中国人に関心が薄かったとは事実のようだ。それなのに、戦時には不利になる日本語の欠陥を分かっていたのだ。日本は英国と同様に大陸から離れた島国であるのは似ており、大陸との関係も共通点が多い。しかし、米国の支援を得るまでに1年間の間ドイツ・イタリア同盟国と1年以上に亘って孤独な戦いを推進したのには驚くが、それもチャーチが居なかったら展開が違っていた。翻って、今回のロシアとウクライナの戦いは、プーチンをヒットラーに重ね合わせると正に民主国家と専制国家の再現なのだが、プーチンは古ロシアの復活であり、ヒットラーの様な野望は持っていない様だ。しかし、ヒットラーも最初は恐る恐る領土を広げていたので、その時点でフランス等が強硬に対応していれば違った世界があったことを理解いており、欧州各国はプーチンに対する譲歩はない。しかし、今回の火種を作ったのは間違いなく、引退したメルケルドイツ首相だ。メルケルは東ドイツに生まれ、統合後のドイツで首相迄上り詰めた女傑だが、専制国家の中国とロシアに肩入れしていた。メルケルは東ドイツで専制国家が民主国家に敗れたのを経験しているが、物理学者であったメルケルの頭の中に専制国家の郷愁が残っていたのか生まれたと思われる。チャーチルが指摘した様に民主国家は欠点だらけの制度だが、専制国家の様に自由を束縛するのではない大きな利点を見出している。チャーチルが米国人の血を引いている証であろうと推定できる。驚くべきことに、チャーチルは政治家として今の職業安定所や失業給付金など社会福祉制度を1900年に実現している。資本主義の自由な競争社会には救済措置の必要なことを理解しての事だ。軍人として経験を積んできたチャーチルが社会福祉制度の必要性に何時気が付いたのか興味がある。メルケルは中国とロシアに対する経済的な交流で専制国家の新時代の実験を夢見たのかもしれない。メルケルはプーチンは別な世界に生きているとまで分かっていたのに経済交流を進めたのには理由があるはずだ。今回のプーチンの行動もメルケルには分かっていた筈だが、欧州と米国が一体となってウクライナの支援に動くことは想定していなかったと思われる。動かなかった時にはドイツにメルケル主導の専制国家が生まれたかもしれない。現在の英国のジョンソン首相はチャーチルを政治家の師としているので、プーチンの野望の阻止に期待したい所だ。

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