円安と貿易収支の赤字の行く着き先

過去にミスター財務官と言われた榊原氏が今回の円安を良い円安と言った記事を目にした。昭和の時代ならいざ知らず令和の時代のグローバル経済においては良い円安がある筈がないと思うのは私だけだろうか。問題は円安と並行している貿易収支の赤字が増加してることだ。私は戦後の貿易収支が赤字で保有ドルが少ない時代に育ったので、貿易収支の赤字は蓄えたドルの取り崩しが必要なことを先ず浮かぶ。過去の日本と違って韓国に融通出来るほどドル資産を保有しているので心配はないと誰もが思っていることが危ないと思われる。昭和の時代の経営者は日本と言う国家を考えて会社を経営していたが、若い世代はグローバルの時代を生きているので日本と言う国家の意識が希薄と思料する。国家意識が希薄な若い世代の経営者は本社を日本に置かなくなる可能性が高い。農産物の自給率が大幅に下がり、工場の海外移転が進んだ現代において円安は致命的と推定される。少子化が予測以上に加速度的に進んでいるが、この理由は非正規雇用者の労働環境を構築した結果だ。非正規雇用は米国の物真似だが、米国は移民が進行中の国なので、非正規雇用で少子化が起きても問題がないが、日本は基本的に移民を受け入れない国家だ。同様の労働政策を取ればその結末は見えていた筈だ。非正規雇用は経済産業省と経団連の合作だが、見事に日本の弱体化に貢献した。今となっては少子化を改善するには時間が掛かりすぎるので国は諦めたと推定する。人は終活があるが国家の終活は江戸時代の国内の農業生産に基づく人口まで減少させることでもある。勿論、国家の終活はないが、少子化に対する対策はAIロボットの活用と考えるのが一般的と思われる。AIロボットと言っても様々で、人間仕様から自動運転の車も広義的には含まれるので、労働人口は大幅に減少しても問題がない。問題がない所か単純労働の人間は必要がなくなる可能性が高い。榊原元財務官が良い円安と言った背景には円安はインフレを起こすので国家の財政赤字の負担が軽くなるし、予測以上の少子化と円安が相俟ってAIロボットの開発と導入が促進されるし、人口減少は海外からのエネルギーや食糧の輸入が少なくなるので、人口が一定水準まで減少することは国家の財政の負担も減少して喜ばしいことになる。尤も、問題はその過程であるが、それは国家の終活シナリオ次第と言ったとこであろう。

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