現行金利と金利上昇の懸念には過去を振り返る必要がある

日銀がアベノミクスの異次元緩和の解消を目指している中で金利上昇の懸念が紙面を飾っているが。現行金利を見た場合には資本主義が崩壊したと言っても過言ではない。1992年に金利は7.78%であったがバブル経済崩壊後の資産デフレにより金利は低下し、1998年には2%を割り込み、それ以降次第に金利は下がったものの2007年頃には2%を超えるかの状況になった。しかし、2008年のリーマンショック以降は再度下がり続け2%には程遠いのが実情だ。バブル経済時代に円高になり海外に工場を移転しなければ輸出価格の競争力が無くなり、下請けと共に多くの企業が海外に生産拠点を移した。この為、国内的には第三次産業などサービス産業にシフトする政策が取られ、円高是正の内需拡大による公共投資事業の拡大や不動産の高騰によるバブル経済が起きた。現在の経済を見るには過去の歴史を遡る必要があるが、低金利政策から26年も経過しては高金利時代など理解できないと思われる。昭和・平成・令和を生きた人にとっては10%を超える金利で事業を行ってきた経験があるので、現行金利の低さでしか事業が成り立たないのには驚くばかりだ。今のマスコミの紙面を見る限り金利上昇に関する不安面が大きいが、その不安は民間企業よりは国債の金利上昇による国家予算の真水部分が減少することと推察される。経済を正常に戻すには物価上昇と労働賃金の上昇が必要な事は当然だが、過去30年に渡る国家と民間企業が間違った行動に関する反省がないのでは、物価上昇をコントロールできなくなって金利を上げて抑える危惧が起きてくる。資産デフレの原因はバブル経済崩壊以上にアジア通貨危機による面が大きい。多くの企業が工場の海外移転を進めたが、アジア通貨危機で海外の生産工場の不振が生じた。多くの海外工場の建設資金は国内の不動産を担保に借入たものであったので、バブル経済崩壊の不動産価値の下落は企業にとっては痛いものになった。バブル経済による不動産下落はアジア通貨危機によって拍車がかかったのである。尤も、バブル経済から今日の日本経済を見ると正しい判断が出来ない。更に、20年以上遡ってベトナム戦争終結、日本列島改造論、オイルショック、重厚長大産業の終わりなど色々な出来事を見る必要がある。現在の少子化現象など分かっていたのに手を打たなかったのは円高による海外への工場移転などで国内に労働人口が必要なくなったことも一因としてある。国家も企業も将来の人口減少による国家リスクなど見れていなかったのである。付加価値の高い工場は国内に残したが、付加価値が高いので人より導入コストが掛るロボットでも採算性が取れることも人口減少に目を向けなかった愚かさであろう。この間、マスコミは将来に対する悲観的な記事を書いて結婚適齢期の男女の結婚を阻害し、更には子供を産むことに対する懸念も助長させた。尤も、マスコミ以上に政治家は政治資金を公的資金で賄える制度になり、更に小選挙区制度によって党に媚を売る連中だけが当選し、国民の声を聞くことのなくなった。過去を振り返ると政治家も官僚も大企業経営者も国家の大計を考える人がいなくなり、経済の停滞は革新的な事業をおこせないからだと一面的しか見えていない。今後は専制国家と民主国家との対立になり経済も当然に変わってくることになり、それと相俟って急激な技術革新による世界の変化により、金利に関しては別な視点から深く考える必要がある。

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