歴史は些細な事で大事件に繋がることがある。第一次世界大戦はオーストリアの皇太子の暗殺事件から勃発したが、事件の経緯を書いた過去の書物を読んだ時に偶然を超えた何かしらの力が働いたとしか思えないことに衝撃を受けた。今回のトランプ大統領候補は間一髪で難を逃れたが、それは原稿を見るために顔を動かしたことであった。真実かどうかは不明だが、バイデン大統領がトランプ氏に電話かを掛けた時に顔を動かした理由を尋ねた所、原稿に目を向けたと答えたそうだ。バイデンの大統領選挙からの撤退は間違いなく、トランプ氏が狙撃事件で難を逃れたことに運命的なものを感じた為であると推定される。問題はトランプ氏が大統領に選出された時に世界がどの様に動くのかだと思われる。トランプ氏は間違いなく、グローバル経済を否定する人物だ。歴史は温暖化や人口増大など地球にマイナスに作用している問題は根底にはグローバル経済から発生しているのは間違いがない。トランプ氏に運命の女神がほほ笑んだとしたら、世界としては擬人的に言えばグローバル経済を止める意思表示と言える。米国は伝統的に建国以来アジア重視であり、大陸派と沿海派に分かれている。米中対立が続く限り日本は米国に取っては戦略上重要な国となる。第二次世界大戦後の世界では米国は常にロシア(旧ソ連)と中国の乖離を画策してきたが、ソ連崩壊後のロシアと経済成長率著しい中国に対してはグローバル経済に組み込んだ両国を脅威と見做さないできた。現在はそのことが仇になってロシアと中国が接近しているので、米国にとっては世界をコントロールする上で過去のの脅威が蘇っている。バイデン大統領は両国を敵に回したが、トランプ氏が大統領に成れば、ロシアを囲い込んで中国を孤立化させる伝統的な戦略に戻ると推定される。米国を長期的に考えるとトランプ大統領候補の副大統領候補になったバンス氏の存在だ。面白いことにバンス氏を支援しているのはIT企業の起業家である。バンス氏の書いた著作「ヒルビリー・エレジー」も読んだが、正にグローバル経済を批判したもので自伝的な本だ。海兵隊に入ってから人生を変えた典型的な事例と思われる。最終学歴はイェール大学ロースクールなので、出版で得た資本を本にベンチャーキャピタルとしての活動がIT起業家の支援を得られているので、IT起業家の人達特有の独善的なものを持っていると思料される。トランプ後の大統領候補に出て来ることは確かですので、独裁色を強める政治家になる可能性があり、世界的には民主国家が後退する可能性がある。今後の世界を考える上で平和か戦争かと見れば、各地で紛争が起きる可能性が高いかもしれない。何れにしても世界はグローバル経済を阻止する動きになる事は間違いがないし、バンス時代になれば米国は強権国家になるかもしれない。ここに中国とインドが覇権国家として存在してくる可能性があり、日本は難しい選択を迫られると思われる。