未来が予想できない時代

驚くべき新技術が開発され、2025年にはシンギュラリティも現実味が帯びてきているにも拘わらず、誰も確かな未来がイメージされないと言われている。このことは理論と実践から生じる仕方がない現象とも言える。現在の社会は机上の理論で構築されているので、物づくりの様に試行錯誤の結果に基づくものではないからだ。日本の少子化について問われれば色々な意見があるだろうが、少子化の方程式を見るにはお隣の韓国が参考になる。韓国は軍事政権時代に日本をモデルにして経済成長を推進して来た。しかし、軍事政権が倒れ、民主政権が生まれてから強力なトップダウンの政治体制がなくなり、アジア通貨危機に陥り、IMFの救済によって経済の再生を果たしたと巷間には言われている。確かに、為替は別にすれば日本がバブル経済崩壊後にデフレ経済に陥っている間に韓国は日本に追いつき、追い抜いた様な経済成長を遂げている。市場開放と生産性と効率性を要求するIMFプログラムを進めた結果、国家全体は豊かになったかもしれないが、そこには人の存在が考慮されていないプログラムであった故に急激な少子化に陥っている。日本も小泉内閣が発足し構造改革と称する似非の改革を進めた結果、少子高齢化の社会となり、韓国と同様に少子化の勢いが止まらない。少子化の責任は経済産業省の官僚と経済界にある。日本の大企業に関しては労働生産性の低い工場は海外に多くは移転しているので、非正規雇用によって景気に対する生産調整を行う必要はなかったのである。自動車会社の為に非正規雇用を採用したとも推定される。当時、大企業は国内に投資案件がなく、徒に現金・資産を溜め込んでいたのが、新時代の総会屋のアクティビストファンドに狙われた。馬鹿な話である。韓国が先行している少子化を日本が後追いしているのだが、非正規雇用が結婚をしない人達を作りだし、結婚しても教育費の高さから子供を一人とする夫婦が多い為に少子化が止まらないのだ。枝葉末節な対策で少子化を止めようとしても地方が疲弊した原因である工場の減少や鉄道の廃線などによる市街地化の空洞を等閑にして無駄な事と思われる。物理空間とバーチャル空間の両立の動きが出て来ているが、それ以前に地方に関係人口を増やすアクションプログラムも進められているにしても未来社会とは考えられない。AIと物理空間とバーチャル空間の融合、人型ロボットの機能やコストの低下、自動運転の一般化などが進んだ場合に現在の社会がどの様に変わるかが想像できない難しさがある。政治とは百年の大計を考えてのことと古来は言われたが、今の政治を見る限り、目先の対応で精いっぱいの様だ。理由は今の社会が豊かになった故の停滞と同様に政治家に多くの金を与えたのが未来志向の政治家がいなくなり、選挙対策の目先のバラマキ政治となってしまった。田中角栄の金権政治の脱却を目指して作られた政治制度が皮肉にも無能な政治家を作り出した。この事を考えると今の技術開発の影響による未来など想像出来ないのは当然とも言える。

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