工事用写真のソフトを販売していた会社の代表から今後は無料に致しますとメールが届いた。無料化のご挨拶には1940年生まれで高齢になったのでと書いてあり、更に今後10年は無料ソフトのメンテナンスを続けるとの事でした。人生の余白をボランティア精神で生きることに素晴らしい人生と思いました。単に仕事を辞めるのではなく、人生を有意義に送る為に仕事を続けるが、それは利益の為ではなく、精神的な健康を維持する為に行う生き方は意味があると思われます。勿論、誰しもが出来ることではなくソフトの無形資産があったからこそですが、社会に必要とされるボランティア活動に従事することも人生的には素晴らしいと思われます。尤も、高齢になってボランティア活動が出来るのは生活に余裕があってのことですので、自分自身の為に生ききることも素晴らしい人生には違いはありません。今の世の中は子供の頃から投資の方法を教えてお金中心主義になっています。その理由は経済成長と労働人口の増加を前提とした年金制度が低成長と少子高齢化社会になり維持できなくなるので、自分の老後を豊かに送りたいならば株式投資などを行えと言うことだ。健全なる精神はある程度の豊かさが必要なのは古来から指摘されているが、子供時代から投資の方法を教えるのが健全な社会を作ることになるとは思えない。国家百年の大計を考えない政治家や官僚や経済人などが現況の社会を作ったのだが、その反省もなくして良い国家社会など造れる筈もない。立憲民主党の野田代表が貧しい人を救済するのではなく、貧しい人を作らない社会を作ると宣言したが、ベーシックインカムを導入するしか実現はしない政策だ。そうとすれば財源が問題になる。サラ金財政を続ける日本がベーシックインカムを行う財源などないのは自明だ。しかし、未来社会でAIやロボットが主要な労働源なるならばAI利用税やロボット利用税を設けてベーシックインカム制度を構築することは出来るかもしれないが、未だ夢物語だ。自民党の総裁選の候補も何れも大局観を持った発言をしていない。部分最適な話ばかりだ。政治家が官僚の様な発想になって久しいが、政治家のサラリーマン化は豊富な政治資金の為だ。豊富な政治資金を貰っている上に更に政治資金パーティで稼いでいる姿は詐欺師のパーティと同様だ。更に、小選挙区制度が小粒の政治家を生み出すマシンと比例代表制度が政治不信の温床だ。ソフト販売会社の社長のソフト無料化による素晴らしい人生をメールで見た後に政治家を見ると情けなくなる。
未来が予想できない時代
驚くべき新技術が開発され、2025年にはシンギュラリティも現実味が帯びてきているにも拘わらず、誰も確かな未来がイメージされないと言われている。このことは理論と実践から生じる仕方がない現象とも言える。現在の社会は机上の理論で構築されているので、物づくりの様に試行錯誤の結果に基づくものではないからだ。日本の少子化について問われれば色々な意見があるだろうが、少子化の方程式を見るにはお隣の韓国が参考になる。韓国は軍事政権時代に日本をモデルにして経済成長を推進して来た。しかし、軍事政権が倒れ、民主政権が生まれてから強力なトップダウンの政治体制がなくなり、アジア通貨危機に陥り、IMFの救済によって経済の再生を果たしたと巷間には言われている。確かに、為替は別にすれば日本がバブル経済崩壊後にデフレ経済に陥っている間に韓国は日本に追いつき、追い抜いた様な経済成長を遂げている。市場開放と生産性と効率性を要求するIMFプログラムを進めた結果、国家全体は豊かになったかもしれないが、そこには人の存在が考慮されていないプログラムであった故に急激な少子化に陥っている。日本も小泉内閣が発足し構造改革と称する似非の改革を進めた結果、少子高齢化の社会となり、韓国と同様に少子化の勢いが止まらない。少子化の責任は経済産業省の官僚と経済界にある。日本の大企業に関しては労働生産性の低い工場は海外に多くは移転しているので、非正規雇用によって景気に対する生産調整を行う必要はなかったのである。自動車会社の為に非正規雇用を採用したとも推定される。当時、大企業は国内に投資案件がなく、徒に現金・資産を溜め込んでいたのが、新時代の総会屋のアクティビストファンドに狙われた。馬鹿な話である。韓国が先行している少子化を日本が後追いしているのだが、非正規雇用が結婚をしない人達を作りだし、結婚しても教育費の高さから子供を一人とする夫婦が多い為に少子化が止まらないのだ。枝葉末節な対策で少子化を止めようとしても地方が疲弊した原因である工場の減少や鉄道の廃線などによる市街地化の空洞を等閑にして無駄な事と思われる。物理空間とバーチャル空間の両立の動きが出て来ているが、それ以前に地方に関係人口を増やすアクションプログラムも進められているにしても未来社会とは考えられない。AIと物理空間とバーチャル空間の融合、人型ロボットの機能やコストの低下、自動運転の一般化などが進んだ場合に現在の社会がどの様に変わるかが想像できない難しさがある。政治とは百年の大計を考えてのことと古来は言われたが、今の政治を見る限り、目先の対応で精いっぱいの様だ。理由は今の社会が豊かになった故の停滞と同様に政治家に多くの金を与えたのが未来志向の政治家がいなくなり、選挙対策の目先のバラマキ政治となってしまった。田中角栄の金権政治の脱却を目指して作られた政治制度が皮肉にも無能な政治家を作り出した。この事を考えると今の技術開発の影響による未来など想像出来ないのは当然とも言える。