食管法により主食のコメを国が管理していたのを1995年に食管法を廃止し、食糧法を制定して民間主導の管理に移行し、コメの取り扱い業者を登録制にしたのは30年前のことでした。米は主食と言う言葉が独り歩きをして米価を低くしていたのは無策の農林水産省の役人と無能な政治家でした。食管法は戦後の食糧難に米の安定供給を考えてのことでしたが、消費者にはプラスに働いても生産者にとってはコメの価格と生産コストが見合わないと言う現象が生じました。本来は生産者にとってもプラスになる制度でしたが、現場の生産を知らないでの役人と政治家が考えた悪法と言えます。しかも消費者の生活スタイルの変化も考えないで米を主食と位置付けた考え方が定着して生産農家を苦しめました。米が主食と言うのは一汁一菜の時代の話であり、確かにその時代には大人一人が一年間に必要とする米は精米2俵(120kg)でしたので、家族4人(子ども二人)では年間7俵(480kg)を必要としました。米価が上昇前の価格は1俵約2万5千円ですので、年間のコメ購入価格は17万5千円になります。この金額を12ヶ月で割ると約1万5千円になります。家族4人の食費は月額約5万円とすれば、米の購入価格は30%となりますので主食と言っても間違いではないと思われます。しかし、現代の日本の4人家族の米の消費消費量は過去と違って大分減少しており、1ヶ月で5kg×2回=10kg程度で、年間購入量は10kg×12ヶ月=120kgです。この消費量は過去には大人一人が消費する量と言えます。その上、月額の食費に対する米の購入価格は約4千500円ですので何と9%の割合です。米は殆んどの栄養分が含まれており、不足分を大豆の栄養分で補強すれば十分と言われますが、現代の家庭では総菜などに必要以上にお金を使っていることが分かります。その様な状況の中で米の価格だけが生産コストと見合わない低い価格でこれ迄は推移して来ています。今回の米価の上昇でも生産コスト的には漸く作る価値が出て来た位で有り、米農家が米の生産だけでは生活できずに野菜や花の栽培で生活が出来ている現状を考えないと米の生産が増加するとは思われません。先ずは消費者に米の価格を低くしたいならば米を食べる量を増やす事と言えます。尤も、50年前に米の生産など崩壊してるのに何も手を打たないで半世紀も無駄にしている農林水産省など必要がない官庁と言えます。