市場原理主義とは人間が愚かになること!

古い話で恐縮だが、米国のエネルギー会社「エンロン」のことである。私はこの会社が日本の2ヶ所に石炭火力を建設すると公表した時点でインチキを見破った。しかし、エンロンジャパンの設立には大手商社・金融機関などが出資し、大きな期待を寄せたのである。何故、私がエンロンがインチキであると思ったかと言うと、世界で最も石炭火力の設置に対して環境基準の厳しい日本で石炭火力の建設を打ち上げたからである。日本で石炭火力を100万KW1基建設するには原子力発電所100万KW1基建設するコストとほぼ同じであるからである。然も設置場所が電力の需要地から離れた青森県下北半島などであったのも送電ロスから見て考えられなかった。経済産業省資源エネルギー庁の職員なら誰もがエンロンの計画に対して疑問を抱いたと推測できる。尤も、米国の様な広大な土地で電力事業を行っている会社にとっては青森県の下北半島から東京都内に送電することは問題ではないのかもしれないが、確かなのは日本でその様な計画で売電コストが合うかどうかであろう。結論的にいえば、経営者が株価を吊り上げる目的で世界中にプロジェクトを打ち出したことが判明している。何故タイトルに対してエンロン問題を長々と述べたかと言うと、市場原理主義者が特異点を取り上げてマーケットを加熱させる手法に多くの聡明と言える人達が騙されるからである。尤も、古来より「小さな嘘は見破られるが、大きな嘘は見破られない」と言う格言があった。今回の金融危機も同様である。何か新しい画期的な事があるのではと勘違いした結果である。日本の不動産ミニバブルも同様である。今の時代には、「信用」と言う言葉が蔑ろにされて来ているのに、危うい信用でなりたった世界でビジネスを拡大してしまったツケが回ってきた。リスクは、経験×柔軟性で小さくすることが出来る。

  • entry59ツイート
  • Google+