夢のない時代の若者の住まいは集団化に向かう!
今の若者は夢がなく現実的であると言われて久しい。確かに、豊かな社会に育った人達は物に対する執着が少ないが、豊かさを実現できる「お金」に対しては少なからず執着が見られる。翻って、住まいに関してはどの様な変化が起きたのか漠然と見渡すと、フリーターの住まいは進化するどころか後退している感があるが、正規雇用の社員の住まいで人気が高いのは、デザイナーズマンションである。デザイナーズマンション需要はある意味では現実逃避の象徴かもしれないと考える。最近ではコンセプトマンションなる造語も出現し、マンションの屋上で野菜つくりやメゾネットスタイルで1階にオートバイ駐車スペースを設けた住まいなどが人気である。デザイナーズマンションよりコンセプトマンションの方が現実的な趣味を住まいに反映させているので評価は出来る。尤も、価格的に提供するサービスと見合ったものかどうかが問題だが。一方、今の若者は全く見知らぬ他人と部屋をシェアする事も平気な現実がある。シェアなどと外来語で書くと新しい時代の社会システムの出現と思えるが、良く考えると殆んどデフレ経済であった江戸時代は「長屋」と言う住宅システムがあり、現代のシェア住宅の大型版の様なものと気づく。日本は農村型のムラ社会の共同生活の生き方が長く、戦後に工業化による高度経済成長を通して核家族化が進み、「集団から個」の生活に大移動した。しかし、格差と賃金の上昇が止まった社会の出現で「個から集団」に先祖がえりが一部に見られる。もちろん、貧しさの象徴である長屋でなく、住む人達がお互いにコミュニケーションが図れる新しい長屋の出現である。アジア人は西洋的な個人主義的な住まいより、集団主義的な住まいの方が心の安らぎが得られると思われる。
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