「建築確認申請手続き」における期間短縮緩和の問題

国土交通省が構造偽造事件以降厳しくした「建築確認申請手続き」に関して期間短縮の緩和を行うと言う新聞記事が掲載されていた。誰でも分かる事だが、通常の手続きで日数が掛かるのを短縮すると言う事は、現場から言えば人を増やすか、人に変わる審査マシンを導入するかであり、その何れでもなければ審査する内容を省くと言うことである。現行の手続きフィーからすれば日数短縮を行なうには、いわゆる手抜きすると言う事であり、手続き日数を緩和した以降の建物には要注意が必要となる。国交省では、手続き日数の緩和に対して工事中の抜き打ち検査等で問題が起きないように対応するとのことだが、不思議なのは低金利時代に建築確認手続きに掛かる日数の短縮などそれ程意味があるのかと思われて仕方ない。地震国の日本では建物の構造計算が重要であり、幾ら経済がグローバルになっているからと言って緩和できるものと出来ないものがあるのは当たり前である。デフレ経済では価格競争が激化し、その結果不正が起きている。構造偽造事件に関しても準備不足で建築確認申請関係の民間委託制度を立ち上げた結果、不正が起きたのである。この不正後の対応も行政と民間審査会社に最終的な責任があるにも拘らず民間会社に責任を転嫁して一件落着させた。そして規制緩和以前より厳しい審査となり業界の負担を増したのである。今の社会は実務をしらない者が机上の理論ばかりで物事を決めているので矛盾と弊害だらけである。誰も責任を取らなくなった社会に不正が発生するのは当然な事である。尤も、規制緩和によって安心感が消えた社会では新たなビジネスが必要となるので、穿った見方をすればそれが狙いなのかもしれない。前原国土交通省大臣は就任前から建築基準手続きの日数緩和の持論者と言うことであるが、日本航空の時のタクスチームの様なインチキブレーンの意見を聞いて不正後のビジネスで儲けようとしている輩に騙されているのかもしれない。今後の国交省の動きには要注意である。
  • entry246ツイート
  • Google+

PageTop