TPP参加で農業・漁業・林業を再生させられるか?

日経ビジネスで農水省の元事務次官である高木勇樹とか言う人物が我々の農業支援は間違っていたので、今後はTPP参加で農業の再生を目指すべきだと論じている。この論文は日経ビジネス電子版に掲載されていたのだが、パスワードを忘れてしまったので最初だけしか読んではいない。しかし、日本の農業・漁業・林業を駄目にした行政のトップであった者が言う言葉ではない。彼が論じているのはここ20年位の農業の問題に過ぎない。日本の農業は戦後の農地解放で小規模の自作農の出現となった。この自作農を支援する組織が農協であった。尤も今の若い都会育ちの人は農協の組織自体の成り立ちが分からないと思われる。基本的には農協を支配しているのは農業を行っている農家の代表なのだが、問題は組織が大きくなり、商社や金融機関の機能、更には病院なども持つようになって行くにつれて農民の味方ではなくなった。勿論、今になって日本の農業を語ることはすべてが結果理論的になってしまうが。先の元農水省の次官は東京大学法学部出身者である。家業は何を行っていたかしらないが、少なくても農家の出ではないと推察できる。私も農業に関しては職業としての経験はない。しかし、農村に育ち、曾祖母や祖母、兼業の両親の農業を見てきており、然も父は村の農業委員、県の農業委員に選任されていたので、農業に対する議論の真っ只中にいた。私が中学生の時に父の同志である村の農業委員の方に集約農業について述べたら、その様な事はお前の父親と散々実践してきたことだと叱られた記憶があり、今でも鮮明に記憶している。日本の農業は1965年辺りから行き詰まっていたのである。理由は簡単である。国が工業立国、貿易立国としての経済政策を進め、農村から働き手を奪ったからである。仙川民主党政調会長代理が農協を批判したが、農協だけが日本の農業を駄目にした犯人ではないことを知るべきだ。日本が豊かになるために、所得を向上させるために農業を犠牲にしたのである。私が高校時代に既に日本の農業は三ちゃん農業になっていたのである。三ちゃんとは、爺ちゃん、婆ちゃん、母ちゃんであり、父親は農業から離れて工場などに勤務していたのである。勿論、地域差はあるので全部ではないが、東北などは出稼ぎで成り立っていたのである。農水省などが支援したと言う戯言は聞けない。日本の農業を捨てた代わりに補助金や休耕田補償などの金銭的な支払いで誤魔化していたのである。その様な行政を進めた人物がTPP参加で農業再生など口に出すこと自体論外だ。特に、農業人口は減少し、何兆円もの売り上げが落ちているのに、行政組織と役人は少しも減少していない現実を国民はもっと知るべきだ。翻って、日本の農業は効率一辺倒の大規模農業や法人化で克服できる様な単純な問題ではない。日本の農業、林業、漁業を考えるの事は地域の将来と文化を考えることでもある。大規模農業は生産力が上がるが、畢竟、食の安全や健康的な食を失う危険性が大きい。日本の議論は何時も周回遅れの議論である。大規模農業などは米国や豪州に任せれば良い。少なくても食に恵まれた日本の食材を維持するにはどの様な農業が相応しいかを議論し、グローバル化がローカルの重要性を気づかせた様に、今こそ時流に流されない議論をすることが重要なのである。新しい農業、21世紀の農業とは何かを議論しないで、国土の狭い日本に農業の未来はない。又、農業をどうするかは農業の現場を熟知した人が語ることであり、農業の現場を知らない者に語らせるべきではない。特に、日本の農業を駄目にした役人や学者や政治家などは語る資格はない。
  • entry483ツイート
  • Google+

PageTop