先日、知人を介して歓談した斎藤さんから著作「ザ・チーム」を贈呈された。名刺を交換した時にミドルネームのウィリアムを見て日系人の方と思ったのだが、本を読んで米国生まれでIT業界で若くして大成功者になった人物と分かり驚いた。驚いた理由は紳士で、成功者特有の偉ぶった所が少しもなかったからであった。
本を読むと実に明快に日本の教育の問題点と親が子供をダメにしているのが良くわかる。斎藤さんは福島原発事故の国会事故調査委員会にも委員として参加していたことが分かったのだが、事故調には調査された側に知人がいたので、不思議な偶然も感じた。
両親の故郷である日本に対して愛情を持ち、停滞している日本の活性化に寄与したいと来日したことは本当に感謝したいと思った。それにしても、本に書かれた現代の日本及び日本人の姿には恥ずかしいの一言だ。
本を頂いた後にも斎藤さんを囲む会に出席の機会を得たのだが、日本でのアントレプレナーの支援会社「株式会社インテカー」の経営を行いながら政府の委員でも活躍するなどお忙しい様だ。ザ・チームは是非若い方に読んでほしい本であるのは言うまでもない。特に、斎藤さんが強調しているのは失敗は人生のつきもので、失敗した人こそ多くの知見を有し、将来の成功に繋がると言う言葉だ。又、人の質をかなり重視しており、幾ら才能があっても人間としての質が悪ければ支援しない姿勢には凄みさえ感じられる。子供の頃から人を見る目を養う機会があったと書いており、正に現代日本で社会的成功だけで、人間的成功を重視しない点を厳しく批判している。過去の日本でも社会的成功者は人間的成功者も併せ持って初めて成功者と呼ばれたのだが、何時の間にか風化してしまった。斎藤さんには古き良き日本人の血が流れているのかと感慨深かった。私財を投じて日本が元気になるように起業家を育成する姿勢には頭が下がる。私より遥かに年下の方ではあるが、師と呼ぶにふさわしい人である。
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