美味しい日本酒と恩人

呑み助の私にとっては美味しいお酒に出会うことは喜びなのだが、今夏には先代社長時代にお世話になった元銀行員Mさんから美味しい日本酒を頂戴した。お酒は「吟選 〆張鶴」であった。冷蔵庫に入れて冷やして飲んだのだが、美味しくて飲みすぎる酒であった。飲みながらMさんが銘酒の多い新潟出身であることを思い出した。

Mさんは本社が千代田区の九段にあった時代に飛び込み営業で来られたのが縁で取引が始まったと先代社長に聞いた。都内で不動産の共同開発を進めていた時でもあり、又正に日本がバブル経済に突入していた時代でもあった。当社も港区虎ノ門1丁目等に大型複合ビルの開発を進めており、資金の需要も大きかった。この時にMさんの尽力で多額の融資を受けることが出来て会社の危機を乗り越えられたことも思い出した。

当時、私は取締役統括部長として借り入れ窓口になっていたのだが、Mさんが勤務していた銀行の顧客に対する配慮には驚いた。世間では取引先には厳しい銀行と評価されていたが、Mさん転勤後に取引担当になった方々も皆能力が高く、色々とお世話になった。30代の経験の浅い私にとっては、日本のトップクラスの銀行とそのスタッフの仕事ぶりを見たことは大きなプラスになったと今でも思う。特に、39歳で亡父の後を継いで社長に就任し、その後のバブル経済崩壊後の会社経営を振り返るとMさんが作ってくれた縁に改めて感謝したい。

Mさんが昨年十数年ぶりに来社し、今は不動産業界で働いていることが分かり、親交を再開することが出来た。流石にトップバンクで支店長を歴任した方だけあって色々な所からお声が掛る様だ。最近、TVで銀行マン「半沢直樹」のドラマが脚光を浴びており、型破りの銀行マンに憧れて金融機関の就職希望者が増えているとの事だ。私は銀行内部の事は分からないが、Mさんの銀行の方がバブル経済崩壊後に言った「お客あっての銀行です。お客が死んで銀行が生き残れる訳がありません。」の言葉が今でも記憶に残っている。

Mさんから720ミリリットル日本酒を6本も頂いたのでお盆の帰郷時に母の土産として2本を持っ帰った所、日本酒好きの母は美味しいと喜んでくれた。頂いたお酒で親孝行が出来た。先日にその話をしたら今度は〆張鶴吟選の1升瓶を頂いてしまった。確か、Mさんとはゴルフをご一緒したが、会食したことは記憶にない。お酒好きなMさんと一献傾けたいと思っている。

  • entry570ツイート
  • Google+

PageTop