法人税引き下げに経済効果があるのか

安倍ノミクスの政策の一つに法人税率引き下げがある。各国と比較して法人税が高いので日本企業の投資意欲や外資系企業が進出しないと言った議論から生まれた政策と思われる。確かに、20年前の政策なら効果があったかもしれないが、情報化技術の発達や企業活動の考え方が以前と大きく違ってきたことを考えると余り効果が生まれないのではないかと思われる。特に、国内企業に限れば、大手企業の内部留保が過去にない金額となっている。法人税を安くしても国内に投資魅力がない状況が続いている環境では意味がない。逆に、財政赤字が膨大なのに法人税引き下げが失敗に終われば、消費税増税による赤字財政削減も後退してしまう。少子高齢化社会の到来は30年以上前から指摘されてきたことだ。日本の農業と同様に何も抜本対策が打ち出せずに今日を迎え、労働力不足に周章狼狽している。日本企業や国民は保護されてきたので競争力や競争心がないとかの議論となり、インチキな規制緩和や安定した労働市場を壊したツケが来ている状況の中で、机上の空論を打ち出しても意味がない。非正規雇用制度は成人男女が結婚して子供を作ると言うシステムを壊したのである。同制度の悪影響は現状より、未来に大きな負債となるのは自明だ。経済を良くするのは無機な企業ではない。企業を運営する人である。人造りが国家の使命なのに、今の日本社会は人を殺す社会となっている。正に、ソニーと言う企業が見本を示している。人を大事にしない企業に未来はない。同時に、国家にも言えることだ。国民を大事にしない国は亡びる。国民が安心して生活できる国家が繁栄するのである。今の日本で国が考えなければならないのは、年収250万円で結婚が出来て子供の教育が図れる国づくりだ。安倍ノミクスは絶対的な労働力不足に対して既婚女性を職場に出させることを目論んでおり、NHKもその宣伝番組を流し続けているが、主婦を職場に出すマイナス効果は一切考慮していない。公務員は共働きが多いが、それは民間と比べて待遇が恵まれているからに他ならない。民間企業が公務員と同様なシステムを持ち込めるはずもなく、持ち込んだら会社経営が不安になる。しかし、共稼ぎ構想を提案して主婦の扶養控除の廃止を企んでいるのは恵まれている公務員たる官僚なので、ふざけるなと言いたい。

過去45年を振り返り、日本の農業をぶっ壊した政治家と農政官僚を考えると憤りを感じるが、教育にも国民の生活を圧迫する要因が起きているのには驚いた。今から40年以上前の大学の年間授業料と大卒の初任給(月額)と比較すると、記憶では国立大学の年間授業料が1.5万円位で、私立大学が同7万~13万円(理系が高かった)であった。しかし、現在で比較すると、国立大学の年間授業料は45万円、私立大学が同110万円~140万円である。此処で大学卒の初任給(月額)で比較すると、40年前は初任給は月額6.5万円~8.5万円(金融機関が高かった)で、現在の初任給は月額19万円~24万円と推定される。驚くべきことだが、教育費が何故ここまで高くなったのだろうかと疑問が湧いてくる。

何れにしても、国は日本の国民などを考えないで単に財政や机上の空論などで長年政策を進めてきたツケが今になって回ってきたと思わざるを得ない。一事が万事と言うからおそらくあらゆる面で同様な現象がおきているのもと推定される。日本の良さを欠いた経済成長など今更望むべくもなく、解決する緊急の課題は、国民に負荷を掛けない安心して住める社会作りである。禅問答の様に聞こえるかもしれないが、正にそれ程の難問を解かないと日本に未来はないという事だ。

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