公示地価上昇は朗報か?

2018年1月1日時点の公示地価の全国的な上昇を本日の新聞記事ではトップを飾っていた。地価上昇がデフレ解消と喜べるのは、地価上昇を賃料などに転化出来、インカムゲインの収入が増加してからだ。少なくても過去の経験では地価上昇と比べて賃料の上昇は遅く、賃料に転嫁できるのは1年先と言える。この為、実際には地価上昇と連動して直ぐに上がる固定資産税の維持費の支出が先行するので収入減となる恐れがある。勿論、地価上昇と賃料の関係は需給のバランスで成立するのであり、供給過剰(全体を平均に見てなのだが)ならば値上げは難しい。特に、懸念材料は消費費税2%アップが予定されており、支払う側の心理では2%アップを見込んだ賃料を求めると思われる。勿論、地価上昇はオフォス等の賃料だけで分析できるものではないので、地方も上昇している現象を考えるとリアル店舗の物販からネットに物販の主流がシフトしていることを考えると、物流倉庫の建設が地価上昇の一因とは推定できる。また、北海道のリゾート地の様に外人による土地の取得が増大し上昇しているのも事実だが、全てが部分的な要因であり、全体的な経済のボトムアップによる地価の上昇には程遠いのが実情と思われる。それでは、今回発表の公示地価の全国的な上昇は何を意味するのかと言えば、正にお金の供給過剰による不動産のバブル現象であり、悪い経済要因が生じると下落するリスクを内蔵しての地価上昇である。昨夜の居酒屋で隣の中年男女の会話が否応なく聞こえてきたのが正にバブル化している不動産物件のことであった。カメラマンらしき男性が築45年以上経過した内装がボロボロのマンションが驚くことに2,800万円で売れたと驚いた話だった。場所は悪くないからかもしれないがと言いながらそれでも納得しない口ぶりであった。二人の男女は年齢的には20年以上前の経済バブル時代には20代後半から30代前半と推定され、今の若い世代の様にバブル時代を知らない世代ではない。同じような現象は弊社が管理していた築35年の小規模マンションでも起きた。相場的には1800万円相当と思われるマンションを業者が2,300万円で購入した。この事例は東京オリンピックで湧く東京都内の話なのでバブル現象は分からなくもないが、地方に関してはもともと出口戦略が難しいので、地価上昇は太陽光絡みか物流倉庫絡みかホテル建設需要で上昇している位しか考えられず、リゾートといっても上昇しているのは限られた場所であり、北海道以外では殆どは値上がりまで誘引しているとは思えない。何れにしても、安倍政権に逆風が吹いているので経済運営に成功していると思わせる地価上昇は追い風になるのを期待できそうと考えると、2018年1月1日時点の地価上昇は安倍政権に対する忖度から国土交通省の役人が無理矢理上昇図を描いたとも疑いたくなる春の宴の地価上昇記事であった。

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