石蔵さんから最新作「北高フェイドアウト」が贈られてきた。帯には俳優の佐野史郎の推薦文が載っていた。石蔵さんと佐野さんを結んだのは、彼が早稲田大学の1年生の時に加わったロックバンドの仲間達が島根県の松江出身であり、佐野さんと高校時代から見知っていた人達の縁だそうだ。石蔵さん曰く、「この本は自伝」だそうで、若き青春時代の一コマを描いている。同時代を生きた私にとっても本に書かれている内容は懐かしいものであり、石蔵さんと私の縁を繋いだ広告マンの竹田俊一さんも僅かだが登場している。石蔵さんを知ったのはIT技術者として社会人生を歩んだ物静かな人柄なので、早大時代のロックバンド時代の姿には驚かされる。石蔵さんの美人な奥さんは早世し、本の書き出しも奥さんとの夢の中の会話から始まっている。プレボーイだった石蔵さんが音楽を専攻していた奥さんと知り合って結婚し、お子さんにも恵まれて幸せな一生だったが、作家になった理由の一つは奥さんの早すぎる死だった。この本で人の不思議な縁と結びつきに関して改めて思い知らされた。後書きで佐野史郎氏や松江のロックバンドの仲間たちがそれぞれ書いているが、私の高校の先輩も登場しているので驚いた。先輩の名前は、遠藤賢司で、「カレーライス」、「東京ワッショイ」などの代表曲がある。フォーク系ともロック系とも言われているが、迫力ある歌い手であるのは間違いない。惜しくも2017年に他界した。松江で思い出したが、過って出雲大社の一族の方と飲食を共にしたときのことである。茨城人は絶対無音感の地域で発音が苦手と話したら、島根県の出雲地方も同様に絶対無音感で発音が識別できないと聞き、正に同族の思いを感じた。先輩も松江の人達と交流を持って親しくお付き合いしたのは無意識の同族から来る親しみだったかもしれない。遠い昔に日本列島に渡ってきた祖先の血が現代の我々にも影響してるのかもしれないと考え、石蔵さんは福岡県大牟田市の出身であるが、石蔵さんの祖先とも古代で遭遇している可能性もあり、古代の浪漫に思いを寄せる2019年新年です。
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