先日の日経新聞のWEB版で大手M不動産が既存ビルを解体して建て替えるのではなく、改修工事で持続可能なビルに取り組んで行くと書かれた記事を見ました。自動車がガソリン車から電気自動車に全面的に変わることなどと方向性が一致していると思われます。今後の企業経営はSDGs(持続可能な開発目標)を取り入れたESG(環境・社会・ガバナンス)経営が求められてくることになり、環境経営を度外視して会社経営が成り立たないことを意味しています。コロナ以前から環境経営は求められてきておりますが、環境に対して障害になっていた米国と中国が二酸化酸素問題に前向きになり、一挙に欧州の先行組と歩調を合わせる流れになりました。日本も菅首相の時に二酸化酸素の削減を表明しており、岸田首相も環境に対する政策は追随するものと見られています。この様な変化の中でM不動産が既存ビルに関して改修工事で持続可能なビルに取り組むことを打ち出したことは今後の街づくりに大きな影響を及ぼすことになりそうです。昨今の不動産開発は過去には考えられないほど建て替え期間が短くなっており、資源の無駄遣いの議論にもなりかねない状況でした。ポストコロナが容易ではなく、ウイズコロナが続くことも予想される中でテレワークなどが緊急避難的でなく、継続的に根付く様相を見せており、新築高層ビルの入居者として大きな比重を持ったIT企業がテレワーク併用でオフィスの縮小を計画する様になり、新築ビルの需要の見通しが悪くなったことも既存ビルの改修工事に舵を切り替えることにした要因と言えます。しかし、それ以上にESG投資が今後の主流になる見通しの中で、環境経営を打ち出さないと株式も購入されず、株価が上がらないと言うリスクも増加したこともあります。都心の不動産開発もESG投資などの流れを読み誤ると、新築に建て替えてもテナントが入らないと言う現象も生じないとも限りません。環境経営には入居するビルに関しても評価の対象になる可能性があります。今年のノーベル賞には地球の気候を予測する数式を発明した日本人の科学者が受賞しており、この受賞は画期的なものでした。世界中が二酸化炭素削減による地球温暖化を防ぐ方向に正に舵を切ったと見ても間違いではないと思われます。時代の先を読むことが生き残りの前提です。愚か者は後を追います。ビルのオーナーにとっては悩ましい問題です。
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