「朝鮮半島の歴史」を読んで

一番身近な国ながら意外と朝鮮半島の歴史を知らない人は多いと思われる。私も若い頃に日本と韓国の借款関係と企業間取引に対する情報誌の編集の仕事をしていたので多少なりとも知っていると思っていたが、「朝鮮半島の歴史」を読んで完全に思い違いをしていることが分かった。日本人の祖先は朝鮮半島からの帰化人によって技術など伝えられているのだが、同じ血を引いている種族が多いのに日本と比較すると朝鮮半島の種族達は統一した国が出来てからも常に党派の争いが絶えず混乱していたのには驚いた。地政学上に関して大陸と海を隔てた日本と違って大陸と地続きの朝鮮半島は漢民族や北方民族の影響を受けていたことに起因した争いもあることは確かだが、その理由だけでは考えられないほど争いが多いのは事実だ。日本の場合は台風、地震、火山など災害が多発する自然環境にある為に争いを続けられないとも思われる。確かに、朝鮮半島は日本と比較すると地震の影響が少なく、火山も少なく、台風もそれ程多くないので、人々が団結して危機を乗り越える状況は少ないと考えられる。尤も、漢民族からの影響が強く、常に支配下に置かれていたのは歴史的事実であり、独立した国家としての期間が短い。朝鮮半島の統一国家とする朝鮮王国でも漢民族の支配下にあった。現在は北朝鮮と韓国の二つの分断国家になっているが、完全独立していることから言えば長い歴史の中では貴重な事の様だ。韓国の人達が日本の植民地支配を民族の悲劇として日本や親日派を糾弾するが、長い歴史の上では漢民族の支配が長く、それに対する非難が起きないのが不思議だ。もっとも、歴史の歪曲もあり、若い世代の人達は漢民族の支配に関して知らないと指摘されている。伊藤博文を暗殺した安重根を英雄としているが、伊藤博文が韓国併合に関して日本帝国の経済負担から反対していた事実は全く韓国の人達に知らされていない。歴史に「If」はないが、伊藤博文の暗殺が無ければ韓国の併合がなかった可能性もあった。逆に、暗殺事件が国の統合の意見を持つ山形有朋の登場になったのは皮肉な事だ。韓国の併合なしに韓国に借款を提供して近代化を行い、真の独立国家とさせたならば日本と朝鮮半島の歴史は変わっていた。実に残念な事だ。今の台湾の様に日本に対して近代化に対する感謝の気持ちも韓国に生まれたと思われる。太平洋戦争後の米国は朝鮮半島の歴史を研究していた為に日本の支配下にあった朝鮮に対して直ぐの独立国家ではなく、10年間の信託統治後に独立させる計画であった様だ。朝鮮半島はバルカン半島の様に紛争の火種として地政学的にあることを認識されていたとも解される。何れにしても、日本に最も身近で血縁的にも同族である人達が多い朝鮮半島の民族とは東アジアの安定の為に手を結ぶことが必要と思われる。

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