円高の意味する所

急激な円高についてはその是非について賛否両論がある。輸出業界は当然に価格競争力が落ちるため円安誘導を政府に要望する。マスコミの論調は円安でないと日本経済が崩壊する如くの報道だが、円が90円前後に高くなったのは今回が初めてではない。バブル経済崩壊後に急激な円高があった。確かに、この時には多くの日本企業が中国などに生産拠点を移して乗り切った事が思い出される。海外に長く住む友人の意見では日本企業の実力から見れば円が80円台になっても不思議ではないと何時も言っていた。その後円は安くなり120円台を推移してきたが、円高と比較して何が戻ったかは良くわからない。トヨタなどの自動車会社が高収益を上げたかもしれないが、それは円安と言うより、欧州・米国の経済の好況さが原因であったと思われる。円安や円高は日本当局が一人で騒いでもコントロール出来る物ではないと言う事である。今回の円高は金融危機で欧米ほど傷が深くなかった日本から資金を流失させるためであると言うことである。国民にとっては円高は物価の下落に繋がるので歓迎すべきものと言える。マスコミなどは円高は日本経済の死活問題で再度海外に工場の移転が起き経済の空洞化が進むと騒いでいるが、この論調は古い経済のスタイルを捨てきれない人達の意見である。日本には余り利用されていない富があるので、円高の今こそ海外の企業買収や資源投資、更には不動産投資を積極的に行うべきと考える。円高による海外の工場移転などは過去の出来事である。現在の様に正規雇用者の需要が減少したのは10年以上前の円高によって多くの工場が海外に移転したからである。日本の経済を活性化するには、海外の市場に投資する手段しかないのに気づくべきである。円高によるデフレスパイラルなどを恐れずに今回の円高を機に新しい時代に対応した経済の活性化に乗り出すべきであると思われる。
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