規制緩和後のタクシー運転手の運転技能低下の怖さ

全国的には分からないが、少なくても東京都内のタクシー運転手の運転技術は危ないほど低下した。特に、タクシーの運転手は地方出身者が増えており、幹線道路さえ覚えていない方が多いので、お客が道を知らないと遠回りの料金が請求される事になる。規制緩和の前には、タクシー運転手の資格は普通乗用車の2種免許が必要であった。私も自動車免許を取得する時に自動車学校で2種免許の試験について聞いた事があるが、バックでクランクを走行する技術など初心者の私にとっては驚くべき運転技術であった。しかし、現在では5年くらい事故や違反がなければタクシードライバーにばれると言う事を聞いた。悪く言えば、ペーパードライバーでもなれるということである。また、東京の様な交通が混雑しない田舎の運転経験でも都内のタクシードライバーになれるのである。尤も、最近の車にはカーナビが付いているので道を知らなくても問題ないだろうと反論する方がいるかもしれないが、その様な者は自分でカーナビを使って運転した事がない人と思われる。カーナビは便利だが、所詮有通の利かない機械である。規制前のタクシードライバーは経験で裏道や渋滞の場所、距離が遠いが渋滞を避けられる方法など知っていたので、急いでいる時には何度も助かったものである。しかし、今のタクシードライバーにその様なことは期待できない。タクシードライバーはプロの職場でなくなったからである。タクシー業界の規制緩和は、競争原理主義を導入して料金をリーズナブルにすることと、失業対策を狙ったものと推測される。ところが、実際にはタクシードライバーの生活が厳しくなり、その上タクシーの事故率が高くなっただけである。この理由は、表面的な規制緩和だけで根本的な問題を避けたからである。他と同様、タクシー運転手も小泉政権時代の薄っぺらな似非構造改革の犠牲と言える。経営者だけが潤ってタクシードライバーだけが割りを喰う改革であったからである。この結果、今日、安全性の面で問題が浮上しているが、それ以上に問題なのは個人タクシーの運手手に年齢制限がなく、自主廃業しない限りは営業できる事である。本来、規制緩和とは、利用者に便利な様にすることであると考えられるが、その事(タクシー営業の自由度)に関しては何等規制緩和していなく、利用者は不便を蒙っているのである。小泉政権の似非改革は国民の為におこなったのではなく「百害あって一利なし」である。

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