縦割り行政組織の弊害を指摘されてから行政改革を通して改善を図っているが一向に進んでいない。これは政治家が無能な事と改善案の作成者が当事者である公務員だからとも言える。行政組織は必要に応じてではなく、予算規模に合わせた人員配置になっているので民間と比較して非効率となっている。もちろん、行政組織は公共サービスであるので、非効率な部分があるのは容認できるが、問題なのは国家と地方、省庁間での組織の重複が多い事である。省庁間の出先などは統合して一本化を図り、省庁の業務を受託すれば効率の良い行政組織が出来上がるのは自明である。行政の仕事は一部の専門業務を除けば皆一緒であるので、統合すれば無駄が省ける。しかし、先の行政改革では省庁を統合しても各部門や出先機関の統合が余り行なわれなかったので、予算の減少に繋がる組織統合は少なかった。これでは意味がない。政治家と公務員の年金問題と同様に先送りして解決を図ったので、解決には時間を要することになった。国民を嘗めた話である。この様な事例には事欠かないのが今の政治である。聞いた話だが、国土交通省が観光振興のために欧州で宣伝活動を行うべく、外務省の公使公邸を借り様とした時の最大のネックは公使夫人とのことであった。外務省とは公務員と民間を問わず海外の活動に対してサポートする行政組織が、公務員でもない公使夫人の意向で公使公邸を借りるのにもスムーズに行かないなど言語道断である。外務省は戦前からエリート意識だけが強いが国家国民のために一番働いていない行政組織と言われている。外務省の組織は各省庁の専門家の出向者で形成した方が機能性が高まる筈である。農水省や国土交通省も事業が少なくなっているのに行政組織だけは現状を維持しているので、今後は組織の縮小を図るべきである。また、他の省庁も同様だが、一部の専門スタッフを除けば何処の省庁にでも出向させられる様にすれば、一年の内短期間しか忙しくない部門から年中忙しい部門に対して人材の流動化を図る事が出来るのである。しかし、今の政治家では官僚と喧嘩する度胸のある者は少ないので実現を望むのは無理な話と言えそうだが、21世紀の時代にも日本が元気な社会でいる為には行政組織のフラット化は欠かせない。当社の不動産事業に関しても監督行政組織がフラット化して様々な変化に対応できなければ、安全や環境と言う標語の中でコスト増が強いられる結果となり、企業ばかりでなく国民も費用負担が増す事になるのである。先頃新聞記事で埼玉県の建築確認・検査業務を受託している財団法人が収益増で理事長が知事を大幅に上回る報酬を取っていた事を指摘され、減額する意向であることが掲載されていた。地方自冶体が財政難に陥っているのに業務を外部委託した財団法人が多額の利益を得ている構造は歪んでいると思わざるを得ない。多くの外郭団体を英国を見習って独立行政法人に移行したが、この移行は省庁統合から避難して権益を残すだけになった様に見える。しかも、国立病院などを独立行政法人とした弊害も生まれてきている。行政組織のフラット化とは形式だけの統廃合や誤魔化しの効率化の組織移転ではない。消費税の値上げなどは行政組織のフラット化の後の話である。
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