"はやぶさ"帰還の快挙を思う
遥か宇宙の彼方の小惑星「イトカワ」から満身創痍で帰ってきた探査機"はやぶさ"の快挙は日本人として誇りたい。今の日本は息苦しい程の閉塞感が漂う社会となってしまったが、久し振りに日本人らしいきめ細かい配慮が生きた成果と思える。最近では、日本の電気機器や設備がデリケート過ぎるとか余計なものを装備しているから価格が高くなって競争力がなくなっているとか喧しい。今の経済成長市場がアジアであり、南米のブラジルであるためにその国の人々が購入できる低価格帯の製品を作る事が求められている。売れるものを売るという考え方は一見正しいように思えるが、この考え方は棲み分けを無視した考え方であり、自然の理に反していると考えられる。日本の様な高い技術を修得した国の企業はより質の高い製品を先進国に売り込むべきであり、売らんが為に質の悪い部品を使ったり、必要なものを削除した製品に関しては他の発展途上国に譲るべきである。幾ら世界がフラット化したり、経済がグローバル化したと言っても同じ土俵に乗って戦うのは無理があると思う。今回の"はやぶさ"の製作に関しては色々なトラブルを想定して2重3重の予備回路を設置していたことが快挙をもたらしたと言われている。この予備回路は多くの現場経験を有した人でないと知恵が出なかったと思料する。机上の空論と予算ありきでは絶対に成功しないプロジェクトである。日本人の長所が改良思考なのは周知の事実である。発明発見の創造力の国民ではないが、改良して新たな高いレベルに持ってゆく工夫能力は世界一と思われる。物造りに携わった人なら直ぐに理解するが、今の社会は物造りなど経験していない輩が日本の設備機器は過剰設備になって高いから競争力がないなどと発言し、それが主流になっている。需要にあったものを作ることは一見正しいが、その様な物造りを考えると日本国内では先ず人件費から考えて無理なために海外に工場を作ることになり、工場設備も安くするには国内からの調達を行なわないと言う論理を展開して行くと日本に何が残るのであろうか。ユニクロは素晴らしいとマスコミなどは絶賛しているが、ユニクロの工場は日本には一つもなく、逆に日本の工場を閉鎖させたのである。柳井社長の方針では日本のマーケットが飽和状態になるので今後は海外展開をして成長を続けるとしており、このため今後採用する社員は半数以上が外国人となると宣言している。消費だけを日本に残し、製造・雇用を海外に求めたのでは日本は沈没してしまう。勿論、高齢化少子化社会を考えると仕方ない結論かもしれないが、それなら政治家は小さな政府に作り変えないと国家が破綻する事になる。世界が為しえなかった"はやぶさ"の帰還を成し遂げた技術と技術者に対してモット敬意を払うべきであり、その様な付加価値の技術を日本経済の柱に出来る様にバックアップするのが真の政治である。幾ら世の中の時間が早くなったからといって直ぐに壊れるような物を作っていたのでは日本企業は生き残れない。新聞に明治維新の時の様に日本は海外に学ぶべきだなどと馬鹿な事を言っている輩が増えてきているが、今の日本に必要なことは全くその逆である。"はやぶさ"を帰還させた様な知恵と技術を海外に輸出することである。
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