インフラ輸出の問題点

日本が公共事業等で蓄積したインフラにおけるノウハウを中進国などに輸出することは必要であると考えるが、問題は多額な資金の貸与と長期間に亘って資金を回収するノウハウや工事資金だけでなく構築したインフラに対する中長期的な修繕・メンテナンスの考え方が日本企業や行政にはないことである。一歩間違えば公共投資事業の海外化となり、国民に大きな負担を強いることになる可能性があることを肝に銘じるべきである。日本も過去にはインフラ整備に世界銀行の資金を使ったことがあるが、この時の資金導入に際しては将来の経済成長率などによる税収見込みなどを勘案していた筈だ。世界銀行は融資に際して新幹線建設の時には既存の東海道線を担保に取ったことを忘れてはならない。インフラ輸出には従来の借款供与とは異なる考えで望まないと、日本国家が国内の赤字国債以上に海外の資金供与で信用を毀損する可能性が高い。インフラ輸出に際して民間企業は政府の資金支援を求めるのは間違いなく、この展開には国内の公共事業と同様に政治家が介在し、一歩間違えば利権になりかねない要素を孕んでいる。日本の行政などは採算性を考えた公共投資を行なってきていないので、役人上がりのスタッフでインフラ輸出を推進したのでは失敗することは目に見えている。事業に対するフィージビリティスタディを厳しくしてなおかつ契約書に関しては日本式でなく欧米式の細かい条件で作成することは必須である。しかし、インフラ輸出には新聞などの外野が大騒ぎするので、行政は神風的に受注を目指すことになり、大きな禍根をのこすことになるのは目に見えている。何れにしても、インフラ輸出は経済成長で限界がある国内の需要をカバーする政策としては必要と考えるので、問題はインフラ輸出事業に対する厳正な審査を行なう第三機関を新たに作って対応する事が怪我を少なくする方法と考える。
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