構造構成主義のメタ理論は面白い

前回のblogで"文系と理系の対立"を書いたが、私が批判した文系とは法律至上主義者のことと訂正しなければならない程、構造構成主義のメタ理論は衝撃だった。私は最近1冊の本を手にした。書店でタイトルは見かけたが、余りにも野暮なタイトル「人を助けるすんごい仕組み」が付けられていたので、興味はあったが買うまでには至らなかった。この本は既に20万部以上も売れているとの事なので、人口に膾炙していると思われ改めて紹介する必要もないのだが、本の中で述べられている構造構成主義と幾つかの言葉にこの年齢で気づかされた事があったので敢えて書くことにした。著者は哲学・心理学を学び、現在教える立場になっている少壮の学者さんだ。彼は東日本大震災のボランティア(ふんばろう東日本支援プロジェクト)で驚くべき大きな組織を作り上げ、行政など足元にも及ばない活躍をした。何が凄いかは構造構成主義という理論を駆使して学問の世界以外に経験していない著者がソフトバンクの孫社長の様な事業家に匹敵する手腕を発揮したことである。勿論、事業家の経験がなくても研究会で1000名規模の人を統括する組織の責任者の経験はあるのだが。何れにしても、彼が指摘する時代の変動が大きいときには哲学が必要であると言うくだりは、哲学に対する私の考え方が間違っていた事に気づいた。哲学がこれ程実践的なものなら若い時に勉強しておけば良かったと悔やまれた。著者が社会正義に不審を抱いていたボランティアの方にニーチェの言葉を引用して話した戦略的ニヒリズムなどに関しては私自身も社会の見方に対する考え方を変える契機となった。折角、構造構成主義という哲学に触れる機会が出来たので、著者流に言えば私も何かの呼びかけがあった一人と考えてもう少し構造構成主義を学んで見たいと思った。なお、本の終章では理系を学んだ者からすれば同調できないかもしれない運命論的な話題が出たが、著者からすれば偶然か必然かも構造構成主義で考えると対立する概念ではなく建設的な方向に導くことが出来ることになる。正に、複雑性の科学の二者択一理論と言い、今回の構造構成主義と言い、新しい時代を予感する学問が育ってきていることが分かる。
  • entry517ツイート
  • Google+

PageTop