ビル内や繁華街などに監視カメラが設置されて防犯を強化しているのを見ると、当社が27年前に東京都港区虎ノ門1丁目に開発したビルのエレベータ内に監視カメラを設置し、その後にビル内のエントランスやビル内貫通通路に拡大した経緯を思い出す。当時は監視カメラをビル内の要所に設置して犯罪を予防したり、犯罪者を特定するなどの考え方は浸透していなかった。当社でも設置した動機はエレベータのカゴ内に悪戯書きをされたためであった。今では当たり前すぎて疑問も起きないが、当時は動いているエレベータ内に監視カメラを設置する発想はなく、技術的にも確立されていなかった。しかし、エレベータ内にどうしても設置したかったので、ビル管理システムを導入した三菱電機に依頼して実現したのであった。設置してからも映像の長時間保存などで問題があり、試行錯誤を繰り返したのを懐かしく思い出される。イノベーションと言う言葉が多く使われる時代だが、当時のイノベーションは現在の様な既存のコンセプトを発展させた拡大解釈とは違い発明に近かったので、エレベータに監視カメラを設置したことがビジネスになるなどとは考えもしなかった。この為に、当社のエレベータ内監視カメラ設置は画期的な事だったことに気付かなかった。今考えると大きなビジネスチャンスを失ったことになる。
現代は、情報化技術の発達でグローバル化が急速に拡大し、同時に格差社会を作り出した。この為に、社会不安や異常な行動をする人々が多くなり、建物以外にも繁華街や住宅街にも監視カメラが設置されるようになった。世界で最も多く監視カメラが設置されている都市はロンドンだ。アイルランドの独立派のテロ行為や労働者不足を植民地だった国々から移民を受け入れて対応した結果の移民による反社会活動で治安が乱れたので、治安維持のために膨大な監視カメラの設置となった。他の先進国も右倣えと言った状況になりつつある。当社が管理するビルの貫通通路内に設置した監視カメラが警察に追われて逃げる犯人の姿を偶然に捉えていたので、警察から情報の提供を求められて犯人逮捕に協力したこともある。多くのカメラを設置すれば、犯罪者を捉える網になることは確かだ。
確かに、監視カメラ設置は犯罪の予防や犯罪者の特定に威力を発揮しているのは事実である。海外で飲食店を運営している知人の話だと店内に遠隔操作カメラを設置して従業員を監視しているとのことであった。遠隔操作カメラにマイクを設置して現地の従業員に指図することが出来るので便利な時代になったことは確かだが、人を信用しないビジネスが今後も成功を重ねてゆくかどうかは分からない。何れにしても、当社が監視カメラを設置してから27年の歳月はビル内や周囲の監視カメラは管理システムと連動して徘徊している挙動不審の人物を見つけたり、顔認識で犯罪者を発見したりするまでに技術が進歩している。又、映像もリアルタイムで見られる時代にもなった。尤も、インチキ情報を流されても区別できない弊害も同時に存在する。
当社も15年位前になるがクライアントが名古屋にレジャーホテルを取得した際に遠隔監視カメラシステムを提案したことがあり開発を外注したことがある。外注した先の技術不足で計画はとん挫したが、今度は全く別な視点で遠隔操作可能な監視カメラシステムを開発し、新たな事業としてチャレンジすることを考えている。27年目の再挑戦だ。
コメント