安保法案と国連

安倍政権は安保法案の成立は日本の国防にとって重要との見方をしており、今回の法案の骨子である集団的自衛権を多数与党を背景に強硬に実現しようとしている。この法案に反対する国民に対して本法案を成立を是認するメディアは、平和ボケと対案と言う2点を指摘して憲法違反問題を隠そうとしている。集団的自衛権もTPP問題も同じ縮図だが、国連と言う国際機関を否定する代物だ。

確かに、国連は常任理事会の拒否権の問題、加盟国の増加によるアジア・アフリカ等の発展途上国が多数を占めていることによる先進国の意見が通りにくくなっていることは事実である。

しかし、大きな2回の戦争を経て70年前に国連が生まれた背景を忘れているかの様な動きが多い。政治経済体制が異なった国々との冷戦時代には2国間の軍事同盟や多国間の集団的自衛権も有効であったと考えられるが、24年前に冷戦体制が崩壊し、今日は平和を前提にしたグローバル経済となっている。正に、今の時代こそ国連の存在を確認し、世界の平和を実現する時と思われるが、実際には逆の方向に進んでいる。その理由は、米国がテロ行為に見舞われ、国連を無視したイラクに対する攻撃が正当化されたことに起因する。その結果、ロシアのグルジア侵攻、EUのリビア空爆・侵攻など国連を無視乃至は利用した軍事行動が相次ぎ国連の軍事的な抑止力の信頼が消えた。米国は大きな誤りを犯し、その延長線に日本の集団的自衛権があることは否定できない。米国のイラク進攻が作為的な偽の情報で行われた事実から目を覆っていては集団的自衛権で日本が同じ過ちを犯すことになる。

情報化時代がグローバル経済を生み出したのだが、グローバル経済とは平和を前提としたシステムである。この為に、先進国は必死になって混乱の原因となる芽を大きくなる前に潰そうと軍事的行動をエスカレートさせている。更に、悪いことに平和のために作られた欧州連合が軍事的な同盟から通貨統合でブロック経済化したことにより、世界経済の流れも国連の自由貿易制度を無力化してきている。

安倍政権の安保法案に問いたいのは、国内的な憲法違反以上に国連に対し米国の2番手に多額の拠出金を出している日本の国連に対する姿勢である。集団的自衛権、TPPと相次ぐ国連の機能を否定する政策の実施を続けるならば、国連に対する拠出金を減らして国防費に充当すべきと言える。1000兆円以上の財政赤字を作りながら、日本国民を平和ボケと言って集団的自衛権で世界の紛争に多額の資金を支出するならば、国連に対する多額の拠出金を続けるなと言いたい。原爆の被害を受けた人類史上他にない日本は米国と集団的自衛権で世界の紛争を鎮圧に出る前に国連改革を訴えるのが先ではないか。国連を形骸化した常任理j国制度の拒否権の撤廃などを唱えるべいきだ。改革が実現しないなら、米国が行っている様に国連に対する資金を凍結すべきだ。マスコミも平和ボケや対案などの標語を無知な芸能人に言わせるのではなく、国連改革を唱えるべきだ。国内の憲法問題を超えた議論をするべきだ。戦争を知らない子供達の世代だが、平和と言う有難味を戦後70年で日本人は再度認識するべきだ。

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