有森裕子さんの講演を聞いて

若い方だとマラソンランナーのオリンピックのメダリスト、然も2回(銀、銅)取った方と知らない人も多いかもしれないが、私の世代だと女子マラソンで活躍した最初の女性の印象が強い。今回、保育事業の大手のJPホールディングスが社員の為に開催した有森さんの講演に参加し、謦咳に接することが出来た。有森さんは引退後の仕事の一つに講演を行っていることもあり、非常に話が上手だった。私は過去に雑誌か何かで有森さんがマラソンランナーとしては遅咲きで必ずしもエリート街道を歩んだ選手でない事を記憶していたが、講演の内容は正に自分の頑張り人生の話に終始していた。話は単なる自慢話ではなく、普通の人が長所を褒められれば本当に頑張れるかであり、それを面白可笑しく語る姿には、一つの事を成し遂げた人が語る言葉として説得力が違う事を改めて思い知らされた。特に、有森さんは、出身地が岡山県で、私のワイフの父親の実家が岡山県井原市であるので、要所要所において岡山弁で話されたのが懐かしくもあり、岡山弁独特の方言に笑いを誘われた。しかし、有森さんが高校の1年時に陸上部の監督に入部を何度も断られたにも拘わらず、執拗に粘り、監督が根負けして入部出来た話には非凡な人と思えた。私自身を振り返ると有森さんと違って器用貧乏なのが災いし、中学時代に陸上競技でも短距離、走り幅飛び、走り高跳びの選手として選ばれたがその後は夢中になって取り組むこともなく終わったことを思い出した。有森さんは褒めて伸ばす必要性を強調し、多くの監督と出会ったが全て長所を褒めて伸ばす方式であり、小出監督などは褒める天才であり、欠点まで長所に言い換える人と語った。人を育てる仕事は学校ばかりではなく、企業も同様である。企業は人なりと言われるが、金融資本主義と言われる時代になって久しいが、労働の流動化に伴って会社で人を育てることには熱心でなく、出来る人達を雇用する流れに変わった。有森さんの話を聞くと改めて褒めて人を育てられる会社が長く存続できる企業と思った次第である。

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