台風15号の上陸で千葉県では電柱等が倒壊して広い範囲で停電が起き、然も予想外に復旧が遅れた。報道では送電線の老朽化を原因としていたが、送電線の更新や樹木の伐採に対する投資を削減していた結果が引き起こしたものであり、その原因は福島原子力第一発電所の事故と同様に電力の自由化による設備投資の削減が原因である。勿論、電力自由化前の電力会社は国策によって必要以上の設備投資を行ってきたのだが、その理由は国民の為ではなく企業に対する電力の安定供給と電力費用の軽減を目的としたものであった。しかし、グローバル経済では企業に対する更なる費用の軽減が求められるようになり、競争と効率化により電力の自由化が潮流となった。米国が電力自由化に先駆けたが、その米国で電力供給や派生した事故で問題が起きており、電力会社の公営化も議論するようになってきている。特に、米国のカルフォルニアの電力会社が老朽化した送電線が引き起こす山火事を防ぐために計画停電を実施したことなどからカルフォルニア州の経済基盤まで揺るがす大事になっている。計画停電で山火事を防ぐなど論外だが、それでも山火事を防げなかったことは、計画停電以上に企業の誘致に影響が出ることになり、最悪な状況となっている。翻って、日本の場合も電力自由化の影響で、千葉県の様に送電線の老朽化等の問題で電力復旧が長期間に及ぶと企業活動にも被害が生じ、千葉県から撤退する企業も出て来ることが予想される。この問題は千葉県だけではなく、日本全域に関係するが、米国では太陽光などクリーンエネルギーの導入が電力会社の経営を圧迫している為とも指摘されており、全く日本も米国の後追いをしているので、早晩には米国で起きている問題も波及してくると思われる。行き過ぎた資本主義の再考の動きも出てきており、日本周辺の海水温度の上昇による異常気象に対するインフラ造りも必要な事から環境に対する視点をを考慮した企業の姿勢が問われることになりそうだ。
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