台湾で見るコロナウィルス対策の統治力と日本

台湾は前回のコロナウィルのSARSで被害を受けたこともあるが、今回のコロナウィルスの対応に関しては見事と言える。正に水際で防いだのだが、台湾と中国との経済的な交流を考えると今回のコロナウィルスの国内感染を防ぐのは難しかったと思料する。台湾には戦後の日本が喪失した明治時代の日本の良き部分が残っている様な気がしてならない。日本の感染症対策で有名なのは、日清戦争後の帰還兵達に対する防疫対策だ。帰郷の念が強い兵士たちを孤島に一定期間隔離して当時中国大陸で感染していたコレラなどを防ぐために検査して帰郷させた措置だ。責任者は医師でもあった後藤新平だ。後藤新平は台湾の統治にも関わった人物なのは偶然と言えるだろうか。後藤の精神が台湾に根付いていたから台湾の人々の統治能力が高いのかもしれない。勿論、後藤新平の時代でも防疫対策に対しては非難する人が多かったので、当時の日本人の意識全体が高かった訳ではない。翻って、日本の今回のコロナウィルス対策は東京オリンピック開催や習近平来日予定などが相俟ってSARSの時に影響が少なかった経験をもとにした判断で水際対策を積極的に行わなかった。この時には感染症の専門家の意見を聞かなかったと推測される。日本は医療保険制度が充実しているので、欧米と比べて感染症を防ぐ地理的環境にはある。しかし、感染症を水際で防ぐことや国内感染の拡大を止めるのは環境以上に政治家の決断で決まるのは自明である。台湾の場合にはSARSの時に担当した人物が祭政権の近く居た事も幸運であったと思われる。日本の場合は長期政権で裸の王様になりつつあった安倍首相とポスト安倍を巡っての動きもあり、更に上記のイベントがあるので悲観的な情報より楽観的な情報をもとに判断したと考えられる。これは国民よりイベントを重視しての判断であり、典型的な官僚的な判断である。習近平の来日中止と相俟って急遽コロナウィルス対策を開始したが、時遅しなの自明の理である。今頃なって水際来策を強化した所で、既に国内に入ってしまったコロナウィルスには意味がない。救いは米国の様に医療格差がなく国民は積極的に医療機関に掛かるので、感染拡大と死亡率は抑えられると推定される。また、効果があると言われる200万人に投与出来る「アビガン」も準備されているので、副作用は兎も角緊急的には感染症の拡大阻止には有効だ。この為、今後は感染拡大以上に緊急対応に対する経済的な影響に対策が移ると思われる。医療格差はないが所得格差は米国の後追いした日本なので、その影響の方が大きいと推定される。貯えも少ない非正規雇用などの人達にとって仕事がない状況の方がウィルスより怖い。今回のコロナウィルス対策では官僚から人事権を取り上げて媚を売る官僚を出世させたツケが回ってきた。台湾の祭政権でも見習えと言いたい。

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