アベノミクスで意図的に円安誘導をする為にインフレ経済を目指して日銀の異次元緩和進めたが、今回の円安は色々と諸説はあるものの、グローバル経済が引き起こした円安とは違うような気がする。勿論、米国との金利差も円安要因ではあるが、現在の円安150円台は39年前のG5で決めたドル安誘導時の円高水準である。現在と39年前との大きな違いは、国内にあった多くの工場の海外移転と農産物の自給率の低下、更に国鉄の民営化により地方の経済の衰退を考えると全く別な次元の円安であろう。当然に戦前の円安などとの比較は政治的地政学的な状況が似ていても似て非なるものなので無意味と言える。歴史は繰り返すが全く同じ様に繰り返すわけではない。円安を考える上で米中の覇権争い、ロシアのウクライナ戦争によるロシアとEUの対立を考える必要がある。米国のアジア戦略の歴史を読むと、当然に今の日本は中国とロシアに対する防波堤の存在である。円安が更に進んだ場合には国内に工場が戻るのか、農産物の自給率が高まるのかである。米国はかっての栄光の時代の様に国内に製造力はない。その為に米中対立以降は国内に製造工場を造らせている。しかし、米中対立で米国も国内に製造を戻す計画を進めているが簡単ではない。勿論、少子高齢化の日本でも簡単ではないが、AIやロボットの活用などにより過去とは違った形で国内還流は実現するかもしれない。国内の農業でも家畜の飼料となる農産物を試験的に栽培しており、円安で輸入農産物が高くなると採算価格となる可能がある。戦後の経済発展は官民の共同で行われてきたが、現在は官の方は革新性に乏しく、民の足を引っ張っている存在だ。理由は簡単だ。国家より自分の生活を優先した人物しか官に就いていないからだ。子供時代から塾に通って進学校に入ることで官僚になったのだろうが、そこにはエゴの世界しか存在しない。官の仕事は自己犠牲でもある。更に言えば、親の負担で学校に入れたので、親以上の国家観は持っていない。良く財務官僚が非難されるが、経済面では経済産業省の方が最悪だ。話は大分逸れてしまったが、今回の円安は過去の円安とは違って米中対立、ロシアと欧州の軋轢などを背景に起きているので、地政学的に読み解かないと誤るかもしれない。