企業は誰の者かと問われれば、株主と言うのが一般的である。しかし、この株主が曲者である。会社を起業した創業者の株主や会社発展のために増資を引き受けた株主については分かるが、問題は株を市場で購入した株主の存在である。特に、日本の総会屋と間違えるような株主である。米国の自動車のビックスリーが経営難になった一端も株主優遇の配当制度である。日本企業の強さは株主配当より設備投資を優先した経営システムで、それが常に競争力を維持できた秘訣でもあった。しかし、株主配当重視と言う考え方は、企業の設備投資の考え方が米国流になると言う事であり、将来に備えた資産を常に活用する必要があり、従業員については軽視した経営になることでもある。勿論、従業員の中に経営陣は入っていない。経営陣は株主に多くの配当を約束する代わりに、自分達は高額の報酬を得るのである。今回の金融危機が引き起こすと予測される需要減に対しても株主配当を守るために従業員の削減から始めるのである。幾ら予測できなかったとは言え、今回の金融危機に対する見通しについては従業員の責任ではなく、経営陣の責任である。本来ならば先ず経営陣から報酬の削減などを行ってから、従業員の解雇を考えるのが順番である。そう言えば、日本航空の現社長の事がニュースのなっていた。彼は電車で通勤し、報酬に関しては自分の同じ世代の方々をリストラで解雇したことからと言う理由で1000万円以下に抑えていると言う事である。実に立派な経営者である。この社長の経営の確かさは、今年春に増資を行って手元資金を確保した事であろう。時期がずれていたら実現しなかったとも言われた増資規模である。グローバルが良くて日本式が全て悪いと言う考え方はナンセンスである。昔の日本は政治は二流だが経済は一流と言われたが、今は政治が三流で経済は二流とワンランクダウンしたと思う。顔つきで人物が分かるが、今は地位と顔が合わない者ばかりが跳梁跋扈している。
コメント