破綻した日本住宅金融専門会社の元社長の自伝を読んで

最近、バブル経済で破綻した日本住専の元社長の自伝とも言うべき"懐旧九十年「燃える魂の告白」"を読んだ。東大法学部卒の大蔵官僚出身者である著者の"庭山慶一郎氏"の実像と古巣の大蔵省の政策の数々の失敗が述べられている。今の若い人達は過去を振り返っても仕方ないが言い分であろうが、歴史を知らずして今日の世界的な金融危機は乗り切れないと考える。責任を取らない行政マンが多くの政策を実現させている事や、法律以上に行政指導で民間企業や金融経済をコントロールしている日本の姿を危険として何度も指摘している著者の言葉には重みがある。また、マスコミの無責任さも事例を上げて指摘しており、此れに関しては私も再三ブログで指摘している事なので、同士を得た様な思いがした。庭山さんは大蔵省や日銀などがマスコミを過剰に意識して不動産バブルに対する誤った金融政策や土地に対する課税を実施したことを指摘しているが、全くその通りと当時不動産業界で仕事をしていた者として共感した。フィールドワークの情報でなく、ペーパー類での情報によって行なった政策はタイミングを見誤ったものであることも指摘している。更に、政府に関わる学者や弁護士についても碌な人間がいないことも整理回収会社(RCC)の中坊弁護士を事例に上げて指摘している。100年に一度の金融危機に見舞われた最悪の状況にあって庭山氏の本は一読に値するものと思われる。

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