現場無視の介護保険法の弊害
介護保険法の成立は一見すると高齢者社会の到来に対する備えと見えるが、実際は厚生予算削減を狙った現場無視の制度の導入であり、その上多くの認可制度の導入で厚生労働省の天下り組織を作ったのである。今回グループホームの火事で焼け死んだ老人達は正にその犠牲者である。役人の生活を保証するために税金を払っているわけではない。NPO法人の運営のグループホームはオランダのグループホームを模範にして導入したと言われるが、私の推測だが「仏を作って魂入れず」の類の導入と思われる。オランダは基本的に人を大事にする国家であるが、日本は未だに官尊民卑の考えと相俟って米国流の格差社会の考え方で正に姥捨て山のグループホームとなっている。マスコミなどはこの種の事件が起きると設備不良や運営者の怠慢を指摘するが、根本的な原因は事業の採算性を考慮していないで制度だけを導入した行政の責任を問う声は余り聞かれない。行政などは事故が起きる度に自己保身のために法令や制度改正で民間会社などに大きな負担を強いる設備機器の設置を求めてきている。しかし、制度が持つ欠陥には一度たりとも目を向ける事が無い。もちろん、行政だけの責任でなく、政治が機能していないから起きる問題でもある。民主党政権になっても自民党とその点では何等変わる事は無い。民主党は大きな政府の予算を組んでいるが、国民が期待しているのは自民党時代のばら撒き予算の復活ではなく制度の改善であり、天下りの阻止でなく団体そのものの存在意義を検証することである。この点から言えば、民主党は未だ何等国民の要請に応えてはいない。介護保険法の成立で多くの老人を死に追いやっている現実と新たな無駄にメスを入れるべきである。先ず、役人の首を切れない法律を変えることから始めなければこの国は内から崩壊してしまう。
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