財務省OBの藤井民主党顧問がTVの番組で語った言葉は印象的であった。その言葉とは、"民主党の政治を不安視している人がいますが、民主党は自民党の時代に官僚機構の下にあった政治を官僚機構の上に政治を上げるだけです。特に変わった事を遣るわけではありません。"と説明したことであった。官僚機構の下に政治が置かれる様になったターニングポイントは、田中角栄と言う今太閤と持て囃された人物が総理大臣になった以降である。田中角栄は自分自身に学歴がなかったために、逆に学歴を過大評価する所があった。田中角栄は政策は優秀な官僚に任せれば良いが持論であった。その結果、自民党総裁選挙の論功行賞で各省の大臣に政策通でない国会議員を任命するようになって官僚の暴走が始まった。佐藤栄作までは、各省の大臣には論功行賞ではなく、官僚及び組織をコントロール出来る政策通を任命していたのである。藤井民主党顧問が指摘していたのは正に田中角栄の罪であろう。日本の政党は米国の政党の様に政策研究機関を持っていないので、現時点では官僚機構とタイアップしないと政治が行なえないのは現実である。勿論、官僚機構の上に政治を取り戻す事は優秀な政策通の大臣を任命しないと、官僚の意見を聞くだけの大臣になってしまうので今後は民主党がそれを実行できるのかどうかを見極める必要がある。何れにしても話題にもなっていなかった政治の位置づけが民主党政権を迎えるに当って語られた事の意義は大きい。官僚自体も現行の日本社会システムに対して危機感を持っていると思うから、自民党時代のインフレ経済の予算編成をデフレ乃至は低成長時代の予算編成に転換し、未来を展望できる政治を進めることを期待したい。藤井民主党顧問の言葉は政治家が政治を行なう事を意味しているからである。
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