データ駆動型経済など最近は分からない言葉が多い

データ駆動型経済が経済成長を牽引し、ビジネスチャンスが生まれると書いた記事を目にした。最近はAI(人工知能)を使った不動産評価を謳い文句にした業者の勧誘広告も目立つ。IoT(モノインターネット)が産業革命以来の変革を実現するといった表現も日常茶飯事になった。確かに、新しい技術が多く生まれてきているのは確かだが、何事もコストに見合ったものしか得られないことを自覚しないと過大評価になり、落とし穴に嵌ることになる。参考になるのは、建築業界では規制緩和で建築確認申請を民間企業に開放し、それに伴い構造計算ソフトが販売されたことだ。民間企業の検査機関では高層化する建築物に対して構造計算をチャックするのは厳しいとの判断から構造計算ソフトを義務付けた訳だ。問題は性善説に基づいて構造計算ソフトが作られたと推定するが、その様な前提にしなければならなかったのはコストの問題が横たわっていた為だ。ゲーム理論を使って構造計算ソフト作成問題を考えれば違った答えが出たかもしれないが、その様な複雑な問題として捉えることはなく、性善説を前提にすると手頃な価格の構造計算ソフトが提供できたからでもある。ところが、この不備な構造計算ソフトを悪用した業者が出現したのがご存知の通りだ。AIにしてもIoTにしてもコストに見合った製品で顧客にサービスを提供していると推定されるので、AIならば評価の妥当性を如何に検証出来るのかであり、IoTならばセキュリティの面で不安が付き纏うと思われる。金融資本主義になってから騙すより騙される人の方が悪いとの居直り的な社会になっているので、AIで判断しているので正確などと言う宣伝文句には眉に唾を付けた方が良い。また、IoTによる遠隔操作が可能なシステムはセキュリティに関して安全化と自問自答することが必要な事を自覚すべきだ。産業革命は大量生産方式で製品の価格を下げることで消費の拡大に繋がった。データ駆動型革命は製品コストを下げる効果とは違うので、何が経済成長を促す要因となるかである。日本は少子高齢化社会に入ったので労働者不足を補う面で活用されるかもしれないが、問題は導入コストである。経験や勘で行ってきた作業を新技術の導入で代替できることは理解できるが、消費者が受け入れる商品価格と如何に繋がるかが見えてこない。勿論、MR(複合現実)などは建築業界にも応用されて作業手順が省けて有効な技術であることは認めるが、導入コストに関しての答えが未だ出ていない。新技術が喧伝される一方で、昔のレコード盤に人気が出てきているのを考えると、人は完璧なものより多少不完全な要素が入ったものに魅力を感じるのかもしれないと思われる。データ駆動型経済などと訳の分からない用語を理解するより、何が必要かの視点で物事を考えう事が重要と思うのだが、間違いだろうか。ヒントは街は計画的にゾーン分けするより混在した方が繁栄すると言う事実だ。

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